ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅        遠い道・逃亡・・・・・40

2015-04-02 | 4章 遠い道・逃亡

     国境・・・12 


国境線を超えると10mくらい右前方にネパールのイミグレーションがある。前庭が見えるが誰もいない、管理事務所は広い。シーズンにはバックパックを担いだ旅行者で一杯になる事もあった。壁際にはビザ申請書を書くための立ち机があり、奥には書類受付の管理官用机が置いてある。今日この国境をインド側から通過したのは、列車で一緒だったヨーロッパ人だけだろう。ネパールに入ると車夫はスピードを加速し、イミグレーションとカスタムの前を走り抜けた。ぼくは後ろを振り返り、離れていく国境とイミグレーションの建物を見た。(ボーダーを抜けた。どうだ、やったじゃないか)どうしてこんなに上手くいったのかぼくには分からない、が何だかぼくの身体から緊張感が抜けていくようだ。ボスが道を指示していたが目的のレストランへ着いた。ぼくは力車代をボスに渡し入口で彼が来るのを待った。ネパール側のスノウリにはレストランを持ったホテルが何軒もある。中へ入るとボスはマダムと気安い会話をしている、ぼくは窓側のテーブルで外と入口が見渡せる椅子に座った。後はカトマンズへ行くだけだ。1人でも可能だ。ここでボスと別れるか、どうする。カトマンズ行きの夜行バスまでまだ時間がある、それまでに決めれば良い。
 ボスがテーブルに着くと頼んであったのだろう、マダムがウイスキーの小瓶と小振りの茶碗を持ってきた。ウイスキーを2つの茶碗に入れると乾杯の真似事をした。お互いにどんな言葉がこの場に相応しいのか分からない。それでも上手くやったなという満足感をぼく達は味わった。遅れて来る3人が気になるのかボスは一杯だけ飲むと立ち上がり、
「ちょっと待っていてくれ」
荷物を椅子の上に置いたままで外へ出かけて行った。
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