ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

第1話 山のアシュラム 何か起こる予感・・・1 

2016-01-07 | 第1話 クマルとサソリ



リシケシの山の中には大きな蛇がいる。吊り橋を渡ってガンガの上流へ歩いて行くと道の両側にはヨギ(ヨガの修行者)の小屋が何軒もある。その道端に大きいものでは2m近くもある蛇を肩にかついで座り込んでいる者が何人もいた。ヒンズー教では蛇も神様である。蛇の頭を触ると御利益があるらしい、おばちゃんに手招きされ近くにいってみたが恐い。三角形の大きな頭、口からピンクの細長い舌がびょんと出たりする。蛇の頭を触るとおばちゃんはパイサ(お金)を出せと言うに決まっている。蛇だって機嫌が悪いときがあるかもしれない、手を出すといきなり顎の関節を外してガブリと咬みつかれたらたまったものではない。蛇の牙は咬んだ獲物を逃さないように内側に曲っているらしい。
 花壇の藪の中には何かいる、ぼくは不安を感じていた。正直言って朝と夕方の瞑想の行き帰り何か出そうでぼくはびびっていた。まあ、これで一安心だ・・・と思ったこの夜に事件が起こった。
リシケシの町からきた道路の左側は山である。その山の斜面にぼくが住んでいるアシュラムが建っている。道路からアシュラムへ行くには専用の小道しかない。かなり急な上り坂だ。坂を登りきったところがちょっと広くなり、右側に大きなメインホールがあり左は事務所やライブラリーになっている。小道は真直ぐ山の上方へ続き左右には長屋式の宿舎が建っている。坂を下り道路に出るとすぐ右前にアシュラムの別館がある。聖地リシケシは山間を流れる広いガンジス河と多くの山に囲まれ平地は少ない。道路から河川敷に5mぐらい下がっているのだが、そこに鉄筋コンクリートの柱を建て道路と同じ高さの別館が建てられていた。別館の中に入ったことがあるが20畳ぐらいの広さがある。この建物の下は数本の柱があるだけだ。暑いときには日陰で涼しい、雨が降っても心配はない、ババ達にとっては絶好の生活の場となっていた。いつも10人前後のババ達がたむろし、その中へぼくは入り込んでいた。
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