ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅         マリー・・・・・16

2012-01-30 | 2部1章 マリー
  

 自分の事なのにぼくは裁判について何も知らない。
「トミー用意は出来たの?」
毎朝、スタッフを吸ってのんびりしていたぼくにとって裁判所出頭日は忙しい。
「ほら、髭を剃ってよ。服はどれを着ていくの?」
「これで大丈夫だよ」
「何が大丈夫なの、裁判官の印象が良くないわ」
「だったら帰りにメインバザールに寄ってジィーンズとTシャツを買おう」
「そうね」
毎週、月曜日の朝、いつも愚図々しているぼくに彼女の言葉はきつくなる。ぼくの娘ほどにも年齢差があるのにマリーはいつもぼくの保護者のように振る舞い、何も出来ないぼくはそれに従うという関係が出来上がっていた。アパートを出ると直ぐ四つ角がありそこで客待ちをしているオート力車と交渉するが料金が高い。大通りへ歩きながら次々と交渉しても金額が折り合わない、少しくらい高くても良いじゃないかとぼくは思うのだが彼女は妥協しない結局、交通量の多い大通りまで10分程歩かされてしまった。オート力車の運転手にとってみれば料金の事もあるがあまり行きたくない方面というのがあるのではないだろうか、やっとオールドデリー、ティスハザール裁判所へ行ってくれるオート力車に乗る事が出来た。
 

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