世界の彼方此方へ行きたい

気ままな旅の様子を綴っていきます

絲原記念館と八雲本陣 (2023山陰道no14)

2024-01-07 | 山陰

     午後の見学は絲原記念館。大きな木々に囲まれたそこにありました。

 記念館は、国の登録有形文化財として登録されている絲原家住宅でした。この屋敷構えは、たたら製鉄場の鉄師頭取のたたずまいを今に伝えている。と注意書きされている。絲原家は、さきに紹介していた田部家と桜井家を合わせた「鉄山御三家」として藩の財政に大きく貢献していたのだといいます。

 記念館の案内は、まだ30~40代ぐらいに見える16代当主のご主人にお家の内外を細部に渡って説明いただいた。記念館に入ったそこには、絲原家のたたら製鉄の歴史が綴られていました。大正12年までの13代約290年間にわたってたたら製鉄操業を行っていたという。その後は広大な (5千ha)山林資源を生かし、家庭用の木炭生産を続けていたが、時代は変遷する、家庭用ガスの普及によって業が成り立たなくなり、現在は林業を主家業としていると説明していた。

 両側に吹子 (ふいご)があり真ん中にたたら炉。わかりやすいモデルだ。炉の地下には、まだまだ構造物が隠されているのです。

 「鉄穴 (かんな) 流し」山を崩して原鉱を取り出し川に流し、いくつかの工程を経て砂鉄を取り出す。母岩に含まれる砂鉄の含有量は0.5~5% 旧釜石鉱山では、この値が80%だったといい、この出雲の鉱山の生産性の悪さが様式製鉄の普及と相まって閉山を早めたようです。大雑把に抜き出して書いてみましたが、じっくり読んでみると非常に楽しい資料なのです。

 

 浅丘ルリ子と小林旭が演じた映画「絶唱」1958年 (昭和33) に公開された。この屋敷などが撮影の舞台になったという。懐かしい昭和33年、私の青春の真っ只中だった。ちなみに、この「絶唱」1966年 (昭和41) 舟木一夫と和泉雅子によって撮影されていた。こちらの映画のことは、もう青春を通り越していたがためか全く知りませんでした。

 部屋数はなんと40部屋、家屋への出入り口は5カ所もあるという。

 太く渡された梁組を見上げてみた。棟には照明を当てているようだ。さすが文化遺産。

 池泉回遊式の出雲式庭園。松江藩主、近衛文麿、与謝野鉄幹・昌子も訪れたという国登録名勝だという。ここはかってささら製鉄の砂鉄を採取していた跡地とのことでした。

 紅葉も楽しめるお山の方もご案内いただくのでした。

 

 バスは山地から降りてきた。京都を出てから山陰道27番目にあたる宿場「宍道」の八雲本陣にやってきた。大きな建物だ。この本陣はただいま修復工事中でした。

 重要文化財「木幡住宅」としての説明書きが工事用の覆いに貼り付けてあった。享保18年(1733)に建てられ、歴代藩主の藩内巡行や出雲大社参拝などのとき本陣宿を勤めていたといい、木幡家は島根県を代表する大地主あり酒造業を営むなど地域経済・政治・文化に多大な影響を与えていたといいます。

 そうはいっても、どんなお家なんだろうと探し出した写真をお借りして貼り付けました。ご立派ですね。

 見学はできませんでしたが開いていたところから中をのぞいてみました。庭には剥ぎ取られた屋根瓦がいっぱい並んでいました。

 帰路、バスの最後部から写しました。江戸時代から続いている街道の幅員でしょう。多少なりとも面影を知り得る画になりました。

 昨日も泊まった松江の宿に向かっています。宍道湖の向こうに陽が沈みゆきます。

 ホテルから夕食会場に向かおうとしているのにタクシーが来てくれない。島根県の県庁所在地なのにタクシー不足、いや運転手不足なのか。仕方なく松江駅まで歩いてタクシーを確保して夕食会場「皆美旅館」にやってきた。皇族方が宿泊されたのはもちろんですが、多くの文人に愛され芥川龍之介、高浜虚子、川端康成、岡本太郎、志賀直哉などここに書き切れないほどの著名人が訪れたと紹介していました。

 旅館の庭にでてみるとそこは宍道湖。

 「汁かけご飯」を好まれたという松江藩第7代藩主が食されたという「鯛めし」をいただきます。その鯛めしの具がこちら。

 ご飯の上に、そぼろにした鯛とゆで卵の白身と黄身にワサビ、大根おろし、海苔をのっけて、鰹節をベースにした出汁をかけて、あっさりした味をいただきました。

 食事のあと歩いてみました。宍道湖が背景となる白砂・青松の枯山水日本庭園。アメリカの日本庭園専門誌が2023年日本庭園ランキング4位と評価したという(足立美術館が1位)規模はさして大きくないものの立派。

 お庭から食事をいただいたお部屋の方を写してみました。帰りのタクシーは旅館が手配して無事お帰りとなりました。そのタクシーの運転手氏が言っていた、誰でもが泊まったり食事の出来るようなところではないんですよと。そんな言葉聞いただけで満足感が膨らむのでした。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鉄の歴史博物館 (2023山陰道n... | トップ | 松江市内巡り(2023山陰道no15) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿