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福島第1原発:吉田所長が病気で退任
東京電力は28日、福島第1原発の吉田昌郎(まさお)所長(56)が入院治療のため12月1日付で所長職を退き、本店内の原子力・立地本部に異動する人事を発表した。東電は、吉田所長の病気と被ばくとの因果関係はないとしている。
東電によると、吉田所長は検診の結果、今月中旬に病気が見つかり、15日から第1原発勤務を外れた。21日、西沢俊夫社長に退任を申し出て、24日に入院した。後任には、原子力運営管理部の高橋毅(たけし)部長(54)が就く。
高橋部長は82年、東京大大学院(船舶機械専攻)を卒業、同年東電に入社。福島第1原発ユニット所長(1~4号機)などを歴任し、昨年6月から現職。
吉田所長の病名や累積被ばく線量について東電はプライバシーを理由に明らかにしていないが、松本純一原子力・立地本部長代理は28日の会見で「最終確定はしていないが、担当医からは(被ばくと病気との)因果関係はないと聞いている」と述べた。事故収束への影響について「退任は作業現場にはショックが大きいが、年内に冷温停止を目指すというスケジュールに影響はない」と強調した。
また東電は同日、「第1原子力発電所の皆さんへ」と題した吉田所長のメッセージを公表した。この中で吉田所長は「一緒に仕事してきた皆さんとこのような形で別れることは断腸の思い。ご迷惑をおかけすることになり、心よりおわびする」などとつづっている。
吉田氏は79年に東電に入社。一貫して原子力分野の要職を歴任し、昨年6月から福島第1原発所長(執行役員)。震災発生直後から、現場で事故処理の陣頭指揮に当たった。
今月12日、事故後初めて原発敷地内で報道陣の取材に応じ「できる限りのことをやった。感覚的には『もう死ぬだろう』と思ったことが数度あった」などと振り返っていた。【中西拓司】
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