浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)島田裕巳著を今回は取り上げます。
本の内容としては、主題の「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」よりも、副題の「仏教宗派の謎」の方が適正で、奈良仏教から現在に至る日本の仏教諸派を解説しています。
奈良仏教から始まり、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗を順番に解説しています。
奈良仏教のうち、興福寺は多数の荘園を持ち、大和一国を支配するほどの力を持っていました。武士の世の中の室町時代に入っても大和国の守護を務めるほど、興福寺は力があったそうです。しかし、安土桃山時代に信長秀吉によってその力をそがれ、江戸幕府によって興福寺の大和国の支配は完全に終了します。
明治以降、神仏習合の習慣が顕著だった、奈良仏教の諸寺院は興福寺を含めて、廃仏毀釈の影響で衰退しました。特に興福寺は塀が取り除かれ、境内は奈良公園と一体になっています。薬師寺なども似たような状態で、和辻哲郎の古寺巡礼に記されているように、荒れ果てていたそうです。
この状況を救ったのが、戦後の経済成長で、奈良仏教の各寺院は観光寺院として生き延びる努力を重ね、薬師寺の西塔と金堂再建に象徴されるように、復興しました。
ところで、この本の中で、天台宗以降の各宗派で読まれるお経の違いについて触れていました。以下それを表にまとめてみました。
自分も驚いたのですが、浄土系の宗派とそれ以外では、まったく読まれるお経が異なります。また天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗では読まれるお経はかなり共通しています。日蓮宗は法華宗とも言われるように、法華経(と法華経の普門品が独立した観音経)のみが読まれています。
これ以外には、真言宗だけで読まれる「理趣経」の「百字の偈」、曹洞宗の宗祖道元が記した「修証義」、同じく南北朝時代の曹洞宗の大智の「大智禅師発願文」、浄土宗の法然が記した「一枚起請文」、浄土真宗の親鸞が記した「正信偈」や、同じく浄土真宗の蓮如の「御文」、臨済宗の白隠の「白隠禅師座禅和讃」があります。
さて、浄土真宗がなぜ日本で一番多いのか、それは庶民の信仰という点が徹底しているからだと、同氏は述べています。この点は日蓮宗も近く、両宗派では念仏や題目という具体的な救済の手段が備わっているからだと述べています。
この2つの宗派に特徴的なのは、葬儀の方法が他の宗派と異なり、剃髪授戒の部分が無い事が挙げられます。曹洞宗に始まる葬儀の中で、死者を出家させて僧侶に見立てるという習慣があり、他の宗派にも広まりましたが、在家仏教の性格が強い両宗派では行われません。
浄土真宗の場合、僧侶も出家したわけではなく、俗人として結婚するという点があり、特徴的で本願寺は東西とも代々世襲されています。
奈良仏教と各宗派で読まれる経典、浄土真宗のみ抜粋して紹介しましたが、それ以外の各宗派についても詳しく書かれています。
地味な仏教の本にもかかわらず、結構売れていて重版されているそうです。
本の内容としては、主題の「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか」よりも、副題の「仏教宗派の謎」の方が適正で、奈良仏教から現在に至る日本の仏教諸派を解説しています。
奈良仏教から始まり、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗を順番に解説しています。
奈良仏教のうち、興福寺は多数の荘園を持ち、大和一国を支配するほどの力を持っていました。武士の世の中の室町時代に入っても大和国の守護を務めるほど、興福寺は力があったそうです。しかし、安土桃山時代に信長秀吉によってその力をそがれ、江戸幕府によって興福寺の大和国の支配は完全に終了します。
明治以降、神仏習合の習慣が顕著だった、奈良仏教の諸寺院は興福寺を含めて、廃仏毀釈の影響で衰退しました。特に興福寺は塀が取り除かれ、境内は奈良公園と一体になっています。薬師寺なども似たような状態で、和辻哲郎の古寺巡礼に記されているように、荒れ果てていたそうです。
この状況を救ったのが、戦後の経済成長で、奈良仏教の各寺院は観光寺院として生き延びる努力を重ね、薬師寺の西塔と金堂再建に象徴されるように、復興しました。
ところで、この本の中で、天台宗以降の各宗派で読まれるお経の違いについて触れていました。以下それを表にまとめてみました。
自分も驚いたのですが、浄土系の宗派とそれ以外では、まったく読まれるお経が異なります。また天台宗、真言宗、臨済宗、曹洞宗では読まれるお経はかなり共通しています。日蓮宗は法華宗とも言われるように、法華経(と法華経の普門品が独立した観音経)のみが読まれています。
これ以外には、真言宗だけで読まれる「理趣経」の「百字の偈」、曹洞宗の宗祖道元が記した「修証義」、同じく南北朝時代の曹洞宗の大智の「大智禅師発願文」、浄土宗の法然が記した「一枚起請文」、浄土真宗の親鸞が記した「正信偈」や、同じく浄土真宗の蓮如の「御文」、臨済宗の白隠の「白隠禅師座禅和讃」があります。
さて、浄土真宗がなぜ日本で一番多いのか、それは庶民の信仰という点が徹底しているからだと、同氏は述べています。この点は日蓮宗も近く、両宗派では念仏や題目という具体的な救済の手段が備わっているからだと述べています。
この2つの宗派に特徴的なのは、葬儀の方法が他の宗派と異なり、剃髪授戒の部分が無い事が挙げられます。曹洞宗に始まる葬儀の中で、死者を出家させて僧侶に見立てるという習慣があり、他の宗派にも広まりましたが、在家仏教の性格が強い両宗派では行われません。
浄土真宗の場合、僧侶も出家したわけではなく、俗人として結婚するという点があり、特徴的で本願寺は東西とも代々世襲されています。
奈良仏教と各宗派で読まれる経典、浄土真宗のみ抜粋して紹介しましたが、それ以外の各宗派についても詳しく書かれています。
地味な仏教の本にもかかわらず、結構売れていて重版されているそうです。
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