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にしみの鉄道情報局付属ブログ

青い12系

2017-03-02 | 鉄道

北びわこ号の客車は原型の12系が使われています。
車内を含めて原型のまま残る青い12系は、JR西日本が宮原の1編成6両と下関のSLやまぐち号の予備電源車の1両、JR東日本が高崎の1編成6両で、現在わずか13両になっています。北びわこ号は1995年の運転開始から青い12系が使わていて、青い12系は今やけん引する蒸気機関車以上に希少な存在と言えます。


12系のTR217系台車。20系以降の優等列車用の客車は、空気ばねを装備していますが、20系とそれ以降では、空気ばねの空気の供給方法には違いがあります。
20系の初期車は、自動ブレーキの制動用空気から、空気ばね用の圧縮空気を供給していました。そのため、カーブが続く区間では車体傾斜時の復元のため、制動用の圧縮空気を空気ばねに取られてしまい、制動用の空気が不足することがありました。実際に試運転時に、下り勾配区間で込め不足と同じ状況になり、ブレーキが利かなくなることがあったそうです。
1968年10月のダイヤ改正から20系は根本的対策として、機関車から元空気ダメ管(MR管)を引き通して、ここから空気ばねに空気を供給する仕組みに変更しました。しかしこの方式は、同じく空気バネ台車を装備した10000系貨車と同じく、牽引機の制約を生むことになりました。


12系は波動用として貨物列車が少ない時期に貨物用機関車で牽引することを考慮していたため、ディーゼルエンジンによる冷暖房用電源を搭載していますが、それ以外にも牽引機を選ばない対策がされていて、スハフ12の床下にはコンプレッサを搭載しています。
このコンプレッサの圧縮空気によって、客車としては初めて自動ドアを装備することが可能になりました。
ちなみに14系は12系同様に、床下に小形コンプレッサを装備しており、24系は急行転用後の20系と同じく電源車にコンプレッサがあるそうです。


12系のコンプレッサはスハフのみ搭載しているので、MR管を編成内に引き通し、空気バネ台車及び自動ドアの空気を供給しています。


当然、機関車との間にはブレーキ管のみつながれています。12系の側には、MR管のコックらしきものが有りますが使用されていません。

かって紀勢本線ローカルに使用されていた12系は、普通列車の運用でドアの開閉が多いと言うこともあり、編成内のコンプレッサでは圧縮空気が不足するため、機関車からMR管を引き通していました。そのため、紀勢本線のEF58やEF60はMR管を改造で追加して、P形になっていました。
また12系が東北ローカル列車に転用された時、発電エンジンのない、オハフ13とオハ12のみで編成を組み、青函トンネル用の50系と同じく、電気機関車の電気暖房用の電源で冷房を駆動しましたが、コンプレッサを搭載した車両が編成内に無かったので、機関車からMR管を引き通し、空気バネ用の空気と自動ドアの空気の供給しました。
おそらく予めこのような事態を想定して製造時から機関車側からのMR管の準備工事がしてあったのか、それともこの車両が国鉄時代に紀勢本線ローカルに使用されていて、P形改造されたEF58からMR管にて空気の供給を受けていた名残なのかは定かではありませんが。

撮影 木ノ本 2016年5月8日
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