nishimino

にしみの鉄道情報局付属ブログ

BCGワクチン

2020-04-01 | 時事
結核の予防のためのBCGワクチンがSARS-CoV-2に有効という仮説が出ています。今は生後1年以内の摂取で、学校で摂取することはなくなりましたが、かっては小学校で摂取していました。


他のワクチンのような皮下注射ではなく、9本の針による経皮接種が行われています。



上の図は2011年3月の論文からの引用です。
The BCG World Atlas: A Database of Global BCG Vaccination Policies and Practices
上の図で、クリーム色の国が、BCGワクチンの接種義務がある国で、日本を含む多くの国が摂取しています。青がBCGワクチンの摂取をやめた国、西欧の多くの国と、オーストラリアが該当します。オレンジの国は、今までBCGワクチンの接種義務が現在に至るまでなかった国で、アメリカ、カナダ、イタリアになります。白はデータ無しです。

人口比の重症者や死者を国ごとに分けると、BCGの接種義務の無いイタリアはかなりSARS-CoV-2の患者が多いことと、スペインと隣国のポルトガルではBCGの接種義務のあるポルトガルのほうが重症者が少ないことから、BCGはSARS-CoV-2に有効と言われています。


上の図は国ごとのBCGワクチンの種類です。
If I were North American/West European/Australian, I would take BCG vaccination now against the novel coronavirus pandemic.

BCGワクチンには複数の系統があります。BCGワクチンが、20世紀初頭、フランスのパスツール研究所にて開発されたとき、その菌が国ごとに配布されました。それ以来、遺伝的な違いで、国ごとに差が出てきています。
水色の日本株や青色のロシア株のBCGワクチンを使っている国では、SARS-CoV-2の患者が少ないと言われています。赤の東南アジアやアフリカでは複数のBCGワクチンが使わていますが、ロシアの系統や日本の系統のBCGワクチンが多いということです。
日本の系統のイラクではSARS-CoV-2の患者が少なく、イランはパスツールの系統のBCGワクチンのため患者が多く、東欧ではポーランドが独自の系統に該当するようです。
中国も独自の系統のBCGワクチンですが、摂取が本格的に行われるようになったのは、1980年代に入ってからとの事です。未摂取の世代があるかもしれません。
東欧は社会主義時代にロシアの系統のBCGワクチンの導入が行われています。


肝心の細菌に対するBCGワクチンが、なぜウイルスであるSARS-CoV-2に対して有効かという点はよくわかりません。
ただし、BCGワクチンが人が持つ自然免疫を刺激して、強化され免疫記憶ができると言う仮説が有力となっています。

実際に、BCGワクチンがSARS-CoV-2が流行するより前から、結核の感染予防以外にも高齢者の肺炎に対して有効ではないかという論文が出ていたようです。

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15590794/


日本では、1951年以降予防接種が始まりました。この時期に義務教育を受けた人なので、82歳以下の人は、ツベルクリン反応が陽性などでは無い限り、BCGワクチンの摂取を受けているはずです。
ただし、BCGの有効性は摂取から15年ないしは、40~50年という説も出てきています。日本では10代前半のSARS-CoV-2の感染者が少なく、さらに20代から50代は重症化する例が殆どないことから、この仮設も一理あるかもしれません。


このように、BCGワクチンのSARS-CoV-2に対する有効性は仮説の域を出ていませんが、安全性が確認されたワクチンであり、すぐに摂取可能なことから、オランダやオーストラリアでは医療従事者を中心に臨床試験を始めたようです。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アリバイ崩し承りますの小説... | トップ | 電気主任技術者の話・4 構内... »

コメントを投稿

時事」カテゴリの最新記事