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にしみの鉄道情報局付属ブログ

787に何が有ったのか

2013-01-18 | 時事
トラブル続きボーイング787、いったい何が起きているのか。


JA801A 撮影 宮崎空港 2012年11月10日

燃料漏れ、操縦室の窓ガラスにひび、ブレーキの不具合、オイル漏れ、電気系統の不具合、バッテリー問題と、2011年10月の商業運航開始以来、これだけのトラブルが発生しています。就航後1年を超えていますので、すでに初期不良という段階を超えています。なお787は全日空、日航の機体にトラブルが集中しているような印象がありますが、ユナイテッド航空の機体でもトラブルが発生しています。

燃料漏れは機械的なメカニズムに問題があると言うよりも、バルブをコントロールしているシステムに問題が有り、ブレーキの不具合もコンピューターの誤作動らしいのです。787では機体への複合材の採用以外にも、いろいろ軽量化が行われていますが、油圧配管の軽量化などを狙って、油圧系統が従来の20.90MPaから34.84MPaまで引き上げられています。これがオイル漏れの一因ではないかと思います。このオイル漏れと窓ガラスのひびを除いて、電気系制御系にトラブルが集中しているようです。

電気信号で方向舵や補助翼、昇降舵などを制御するフライ・バイ・ワイヤ機構は、エアバスが先行しA320で採用され、エアバスの特徴の一つでした。ボーイングはフライ・バイ・ワイヤ化は遅れ、777で初めて本格的に採用しました。
787ではかなり思い切った制御を採用して、乱気流など揺れを自動的に制御する仕組みを採用しています。この辺り、かなりコンピュータとプログラムが介在する制御となっているようで、プログラムのエラーの可能性もあるのでしょうが、どうもそのレベルを超えています。
いくつかのトラブルはワイヤーハーネスへのノイズではないかと考えています。適切なノイズ除去を行わないと、静電誘導現象が発生して、近接の信号線に悪影響を及ぼします。787は電気作動の部分が多く、777に対しても格段に、ワイヤーハーネス類が増えていますので、ノイズや静電誘導現象は誤作動の原因になるのではと思います。試験飛行段階から配電盤で火災など、トラブルが解消仕切れていないようです。何処かに無理がかかっているワイヤーハーネスになっているのではないかと思います。
この点はボーイングだけではなく、フライ・バイ・ワイヤに一日の長があるエアバスのA380もワイヤーハーネスの設計にはかなり苦労したと言われています。

バッテリーの問題ですが、リチウムイオン電池の採用というかなり思い切った事をした事が原因なのは明白です。リチウムイオン電池は、携帯電話の電池でも膨らむなどのトラブルがあります。さらに過充電すると発火する可能があり、対策が取られているケースが殆んどです。
トヨタもハイブリッドカーへの搭載は慎重で、プリウスはニッケル水素電池を採用し、搭載スペースが厳しいプリウスαで初めてリチウムイオン電池を採用しました。ホンダも同様で、2012年に行われたCR-Zのマイナーチェンジでリチウムイオン電池を初めて搭載しています。
リチウムイオンを採用した、ハイブリッドカーのトラブルというのも、海外の自動車メーカーではいくつかあるようです。

充電回路の設計ミス、あるいは電池自体の性能不足など様々な要因が考えられ、就航から1年ほど経過して、設計上の予想以上に電池が劣化した可能性もあるのではと思います。
どちらにしても調査委員会の調査待ちなので、はっきりしたことはこれ以上書けませんが、早急に原因が判明してほしいものです。

参考文献 ボーイング787 vs. エアバスA380 青木謙知著 講談社ブルーバックス刊
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