トライアングルの部屋

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仙台在住で大の阪神ファン

ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海

2017-02-02 07:17:31 | 本 2017年
ネタバレあり

俺の後ろには
皆同じような暗い色のスーツに
身を包んだサラリーマンの列
年齢はバラバラだが皆一様に疲れた顔をしている

俺とは
青山隆
中堅の印刷業の営業担当新入社員

ブラック企業?

サザエさんシンドロームや
アメフト部で鍛え上げた先輩が
就職して鬱になった

その話を学生時代は自分とは無関係と
聞き流していた

帰りの駅で
またもや上司からの電話

たまらず電源を切って無視
ふわふわっとした気持ちで
ホームへ倒れこむような感じがしたとき
誰かに腕をつかまれた

久しぶり!!
と声をかけてきたその男
ヤマモトだと名乗る
小学校で一緒だったと
途中で大阪に引っ越したと
関西弁で話す男

飲みに行くことになった

久しぶりの楽しい酒
楽しい会話

こんな時間を持つ余裕も俺にはなかった

休みの日こそ
おしゃれしろと彼に言われ
服装にもヘアースタイルにも気を付ける
明るいネクタイを付ける

彼とはよく会うようになり
それから仕事も少しづつ
うまくいく

偶然起こった奇跡のような再会

しかし
そのヤマモトと名乗る男は
小学校の同級生ではなかった
ヤマモトは今ニューヨークにいると・・・

不信感を持ち尋ねると
彼が見せてくれた免許証
山本純

そして再び
地獄はやって来た

何度も確認したはずなのに
ミスを犯す

屋上から飛び降りることまで
考える

山本は転職を勧める

こんな使えない男を雇ってくれる新しい会社なんてない
社会のゴミでしかない俺を置いてくれるこの場所に
俺は居続けるしかない

これが仕事をやめられず
自殺まで追い込まれる人間の思いなのか?

山本純でネット検索
そこでとんでもないものを見つける
山本純は自殺していた
ブログにあった画像はあの山本純そのもの
悲鳴を上げる俺

彼は幽霊なのか?

またもや会社で問題を起こし
俺は屋上の南京錠を壊す
飛び降りようとしたその時
後ろでヤマモトの声が!!

人生は誰のためにあるか
自分自身と
自分を大切に思ってくれる人のため

そのことばで
両親を思い出す

久しぶりの電話
自分を思ってくれる両親の言葉

自分が死んでも
誰も悲しまないと思ったことを後悔する
俺は一人じゃないと・・・

ヤマモトはいったい何者なのか
答はほとんど見えているって俺は言うけど
このあたりでは私はさっぱりわかりません

仕事を休み図書館で過去の新聞週刊誌を調べる

俺の向かった先は
大阪の山本家

山本純の母親と会う

純に逃げ方を教えてあげなかったことを
悔やんでいると

最後に彼に言った言葉が
「大丈夫よ あなたなら」だったと
ダメだったら辞めていいよと言ってあげられなかったと

その母に話す
自分も同じだったと
アイツと出会ってから変わった
本当に大切なものを
教えてくれたアイツ

母は
純と同じ顔をしたあの子を見ていると
思い出して辛かった
それがあの子も傷つけたと

俺は別れる時
母親に言う

あなたが育てられたお子さんに命を救っていただいたと

その二日後
ヤマモトに向かって
俺は言う
「ちょっと今から仕事やめてくるわ」

上司に思いをぶつける

僕には世界は変えられない
そんな僕でもひとつだけ
変えられるものがある
それがじぶんの人生なんだ

音信不通になったヤマモト

最後のメッセージは
「人生ってそんなに悪いもんじゃないだろ?」

最後の章は
ヤマモトの場面

ようやく試験に合格して
フリーランスの臨床心理士になった

「もう大丈夫だから
心配かけてごめんな」
助けられなかった双子の兄弟 純の最後の言葉を胸に
せめて目に止まる人だけでも助けたいという思い
いまだに純を思い出すので
鏡を見るのが苦しい

そして二年
彼の背後で声がする

「俺の命を救ってくれた人を苦しみから救いたい」
声の主は白衣を着ていた

end

うまく話がまとまったでしょうかねぇ
文庫本230ページほどなので
一気に読み終わり
感動しました

仕事を苦に自殺した人を思い
この本を読んでいたなら
変えられたかもと

入社する時の必読書にしたらどうでしょうか

コメント
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