「白洲正子文学逍遥記」
& 能面・仏像・日本人形・・etc
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古くから竜神信仰の霊場として名高く、興福寺の僧・賢景によって奈良時代末期に創建された室生寺・・その後興福寺、天台・真言密教などのさまざまな宗派の影響を受けてきた。
今回は御影堂、五重塔、弥勒堂、灌頂堂をご紹介することに・・・
奥の院 御影堂
五重塔 ↑
室生寺の金堂から北西方向に眼を向けると、美しい五重塔が見えてくる。全国の仏閣には五重塔は多いが、その端麗な美しさの第一に挙げられるかと思われる。一般的な五重塔の高さの1/3程度だそうである。
五重塔
平安初期の創建だそうであるが、平成10年の台風で倒れてきた大木によって、桧皮葺の屋根が大きく破壊され、可なりの損害を受けてしまった。桧皮自体が貴重品であったから随分と苦労されたと思う。五重塔を通り過ぎると杉木立の間を300段ほどの石段が「奥の院御影堂」に向かって続いている。
最近は石段がどのようかは記憶にないが、冬の寒い日に革靴でこの階段を登っていった事がある。足元は氷のような石段で覚束なく、転べば怪我ぐらいでは済まない急斜面である。心底恐怖を感じた。安易に思いつきで冬期間は登るべきではない。
思えば、過日高野山で参拝して、帰り道一度も通った事のない断崖沿いの道を、麓の橋本までウネウネと曲がりくねった山道を、車で降りた事がある。
道幅は一車線。下は断崖。途中であろうことかダンプとすれ違った。その時は断崖側に我が車があったからその恐怖たるやすざまじいものであった。どちらがキツカッタかは比較も出来ない。山寺の恐怖であった。慣れぬ事はするものではない。
そのような訳であるから、「御影堂」の記憶は欠落してしまっている。大汗をかいた記憶のみがハッキリ残っている。御影堂は弘法大師42歳像が安置されていると言う。拝観は出来ない。山の頂上には「七重の石塔」が見える。
弥勒堂
金堂の斜め下にあるのが、「弥勒堂」である。
堂の中には本尊の弥勒菩薩立像が安置されている。カヤを用いた壇像造りである。
弥勒菩薩立像・95.4cm
蓮の花を持たれている状態の写真もある。
胸飾りや瓔珞などの装身具は一木から彫り出されている。興福寺・伝法院から招来されたものとされており、鎌倉時代の作とされている。
釈迦如来坐像
平安時代前期(9世紀)の作とされている。かや材で彫刻されている。像全体に白土が下地に塗られているので、創建当初は極彩色の仏像であったであろう。頭部は現在は剃髪したようになっているが、元々は螺髪が(一個一個彫られたもの)が貼られていた可能性がある。
衣文は装飾性のある翻波式衣文となっている。渦巻き衣文がアクセントを付けている。
灌頂堂
五重塔と金堂の間にある灌頂堂は本堂でもある。鎌倉時代の真言宗の灌頂が行われた建物で、内陣と外陣の二箇所に分かれている。神社ので良く使われている手法でもある。密教系の仏堂の古式間取りの形式を採っている。
如意輪観音坐像
如意輪観音は一面六ぴである。78.7cm。平安時代の作。漆を下地としてその上から彩色しているようにも見えるが、詳細はわからない。佛顔は古風な中に温かみのある穏やかなお顔である。
「答礼人形」
加賀梅鉢
1998年10月ニュージャージー州のとある骨董店で並べてあった人形を眼に留めたコレクターが買い求めた人形が、実は答礼人形であったのです。現在は個人所有になっております。その後の調査で、この人形は「ミス 関東州」である事が判明しました。Miss モモちゃん
所蔵場所 ニュージャージー州 個人像 瀧澤 光龍斎
花 紋 加賀梅鉢
Miss 関東州 (満州子・ますこ)
上の写真と色合いが違うように感じるでしょうが同一人形です。この人形は高岡 美智子著「人形大使」のよれば、<不明人形>ということになっている。ところが、マサチューセッツ州ビバリーにも、一体の別の個人像の答礼人形が存在していた。
九枚笹
所蔵場所 マサチューセッツ州ビバリー 個人像 作者 岩村 松乾斎
花 紋 九枚笹
当初、バーモント、ニューハンプシャー州の二州へ贈られた答礼人形だったようである。その時「Miss 関東州」とされたようであるが、実際は違っていたのです。現在調査の結果この人形は日本の何処から贈られたものかは残念ながら判明しておりません。写真で見る以上に痛んでいるとの事。とても残念ですね。日本に送り返し修復したら、何か解かるかもしれませんね。
岩村 松乾斎 作
この人形は最近になってオークションで個人が買い求めた人形なのです。不思議な因縁ですね。取り違えられてオークションで売られてと、共に悲しい経験を経て理解のあるコレクターの手に渡る答礼人形も有ったという事です。とても綺麗な顔立ちの人形ですね。
次回は海外出身のMiss 朝鮮とMiss 台湾 をご紹介しましょう。
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