白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

能楽と能面-015

2012-01-16 | 日本の伝統芸能

日本の伝統芸術と芸能 

能楽と能面 

その15

毎日毎日このところ雨が降り続いております。北海道の道央では記録的な大雪とか。最近記録的豪雨とか、豪雪とかいう言葉をしばしば聴く機会が多くなってきました。地球的規模で自然が大きく変って来ているのでしょう。

昨年11月の奄美の記録的豪雨の後遺症は、未だ解決しておりません。各地の幹線道路も、町道も、林道も崖崩れの箇所が多く残っており、不通の箇所もいたるところに有ります。今年の梅雨までに復旧するかどうか、不安な毎日です。

さて、このブログでは今まで能面の内<女面>ばかりを掲載してまいりましたが、本日からはそれ以外の能面も随時掲載してまいります。

ご存知の通り「能」という伝統芸能は<神・男・女・狂・鬼>の5種類の系統の能面を使いこなしてまいりますが、その中でも女面は鬘能(三番目)という、いわばメインイベントで用いられる事で、どうしても能面と言えば小面、若女、増女・・ということになるわけです。

因みに、脇能(初番目)、修羅能(二番目)、鬘能(三番目)、雑能(四番目)、切能(五番目)と、江戸時代以降はこのように定型化されたようです。

序に申し上げますと、現在は「観世流、金春流、宝生流、金剛流」と金春流から出てきた「喜多流」の5流となっております。この外に白洲正子様の夫である、白洲次郎氏の先祖が使えた三田藩に近い、丹波系の「梅若流」があります。(余談ですが、白洲正子様は4歳の頃から能に親しんだそうですが、その流派は記憶に間違いが無ければ、梅若流でありました。人の縁というものは実に不思議なものでも有ります)

黒式尉(コクシキジョウ)

 

本日は脇能(初番目)の翁面をご紹介します。皆さんも良くご存知の翁面で別名「三番ソウ(ソウは艘から舟を取る)」と書いてサンバソウとも呼ばれます。あるいは「三番三」と書いて<サンバソウ>とも呼びます・・ヤヤコシイデスネ。

黒式尉(コクシキジョウ)

 

本当は「狂言」に付いても、併せてお話しなければならないのですが、ますますヤヤコシクナルノデ今回は、「狂言」は話の中に入れておりません。

この2つの黒式尉の面をご覧になって、何か気付かれませんでしたか。のところに切り口が見え隠れしております。これは「切り顎」と申しまして、顎は顔に紐で結んであるのです。この系統の面ととしては「白式尉」が有ります。

能面の中では非常に特殊な面で有る事が分かります。能面の製作の段階では途中までは一体で製作していきます。

またしても恥ずかしながらの、へっぽこ能面が出てまいりましたが、これは黒式尉の製作途中のものです。面の皺の部分が書きたて彫りのようになっており、顎が顔から切り離されておりません。眼もとの色の濃い部分は私の彫り間違いの修正跡です。木糞(コクソ)というものを木に貼り付けて、彫りなおした跡が見えております・・・冷水山斗の思い・・・・皺や眼を切って作業は次に進行してまいります。

これは上記の面の面裏です。可なり肉厚になっておりますが、これから面裏の製作に入るわけです。今までご紹介してきました女面と比べると、可なり趣も、容も違うことがお分かりいただけたと思います。凹凸も女面に比較して大きく、結構ざっくり製作されては居りますが、品格という難問が控えております。

白式尉は次回ご紹介しますが、なかなか品格のある面は実のところ多くはありません。簡単そうで実は結構難しい面です。女面などは凹凸が少ないので、割かし簡単と思われそうですが、非常に難しい面で、少しのミスも許されません。表情ががらりと変ってしまいます。

年寄りを面に表した能面として「尉(ジョウ)面」が有りますが、後日にご紹介致しましょう。実のところ瘋癲老人としては、いまさら爺の面なぞ打ちたくないのです。若いときから好きでは有りませんでした。打つのなら、観るのなら、若い美しい娘の面に限ります・・・・当然ですよ!!

 

まあその様な訳で、本日はお開きと致します。次回からは有名な能面集の中の掲載能面も併せてご紹介致します。

                       加計呂麻島在住   瘋癲老人 

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能楽と能面-014

2012-01-10 | 日本の伝統芸能

日本の伝統芸術と芸能 

能楽と能面 

その14

成人式も終わり、漸く世の中も正月気分から通常の生活に戻ってきました。先日珍しく<茜ちゃんのブログ>にコメントが入りました。

有名な能面集の中身の写真を掲載して欲しい>という内容の文面でした。能面集は通常手にする事が難しい分野の文献です。 特殊の分野でもあるからでしょう。古書店でもおいそれとは手にする事が出来ませんし、非常に高価でも有ります。

 

そして、それ以上に難しい「著作権」というハードルが有ります。このブログでも実は何時もそれを念頭に入れて、内心冷や冷やしながら、写真を掲載しております。私の場合は、私の所有する文献からの拙いカメラによる撮影に拠っております。ですから、他人さんの写真をコピーしているわけではないのですが・・・・

超有名な能面でも私有財産ですから、なかなか神経を使います。ご自分で能面を打たれて、それをブログ、HPに掲載するのであるなら、随分自由に気兼ねなく出来ますでしょうに・・・・・それは極限られた方のみが出来る芸当で、余程図太くないとセミプロの方でも、二の足を踏む事でしょう。ましてや、私のような<ヘッポコ能面師>でしたら、冷水三斗の思いです。

まあ、そのような訳で方々の方々に気兼ねをしつつ、能面の写真を掲載させていただきます。宜しくご理解の程を。

以前、茜ちゃんのブログで<能面と能装束と面袋>、<茜ちゃんと白洲正子さん>というタイトルで、能面、能面集、能装束、面袋などをご紹介したことが有りました。特に能面集は高価で再発行が余り無く絶版が多いので、市中に出回る事が少なく、一般方が手に余り出来ないというのも現実なのです。

私のように10年の上の長きに渡って探し求めるという方も居られると思います。このような文献は<好者>という方々の世界で廻っている代物で、そこから外にはなかなか飛び出さないものです。骨董品と同じですね。とにかく、気長にチャンスを待って探さなければ、手に入るものでは有りません。そのことを頭のどこかに置いて頂ければと思います。

世の中には不思議な事が有るもので、寝ても覚めても<能面集>のことを考えておりますと、執念が顕在化するというのか、あるいは霊界の何方かと霊波の周波数が一致する事が有るのか、ある日突然今まで手に入らなかった能面集が続々と手元に集まってくるという事があります。

思うことは現実化する>というどこかのキャッチフレーズでは有りませんが、そのような事が有るのですね。

能面といえば<白洲正子>と言うほど、白洲正子様も生前は有名な方でした。 「読売文学賞」も受賞された方ですが、私がどうしても手にする事が難しかった数多くの能面集も、この方の著書<能面>を岡山の古書店から購入した事が切っ掛けで、たった数ヶ月で欲しかった十数冊の能面集を瞬く間に手にする事が出来ました。正に奇跡でしたね。

そして、最後に手に入れました<橋岡 一路能面集>もご丁寧にも、白洲様の推薦文入りの能面集でした。 なんとも不思議な体験でした。

白洲様の昨年12/26で14回忌になられました。ご冥福をお祈り致します。

さて実は恥ずかしながら、加計呂麻島に来てからというもの、貝の蒐集に凝ってしまい、毎日雨の日も風の日も、島の海岸にて貝殻の拾い集め、所謂・ビーチコーミングなるものを行うようになりました。

 

  

ところが運の悪いことに珊瑚礁の浜辺でカメラを落っことしてしまいました。もう、大潮の時でしたので水底に沈んでいると思います。それで、ブログが遅れがちになりました。先日、<オリンパス>のカメラをやっと手に入れましたので、操作方法を手に出来次第、このブログも先を進めることに致します。

そのような訳で締まらないブログになってしまいましたことをお詫びいたしまして、本日のブログを終わらせて頂きます。

次回は女面以外の能面も掲載させていただきます。

 

                       加計呂麻島在住   瘋癲老人

 

 

 

 

 

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