白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

日本の伝統芸能と芸術-022

2012-09-28 | 日本の伝統芸術

 

日本の伝統芸術と芸能 

         能面と能楽佛像と佛像彫刻 

                                   その022

 

人形特集-016

        ・・大正・昭和期市松人形

 

弘法さんと私・M清子さんからお借りしました、二代目光龍斎製作の市松人形達の資料を基にして、再度大きいサイズでご紹介して来ました。今回もその続きを致しましょう。

二代目光龍斎作・昭和・55cm 

 

 

 女の子の着物は紋錦紗で、コレクターの清子さんが仕立てられたよし。男の子はオリジナルだそうです。印籠が見えてます。対で製作されたかは不明。先回ご紹介したペアーとは着物の趣が違っております。なかなか宜しいです。

筆者も京都が近かったので、京都に行くと必ずショーウィンドウ越しに、ゆっくりと歩きながら市松人形の前を通り過ぎたものです。 市松一体・¥800.000円の正札は眼に眩しかったですが・・・

 以前もお話しましたが、子供の時に一体の市松人形(80cm内外)を持っていましたし、30代の時名古屋の吉浜人形に弟子入りしようかと、思ったことも有るぐらいですから、相当思い入れは強かったんでしょうね。三つ子の魂百までですね。

市松人形の掲載の機会は少ないので、我侭言って、もう少し清子さんのコレクションの市松を紹介させてもらいます。

 

 岡本 玉水 作 ・大正期・55cm

 

衣装人形の人形制作者だそうで、市松は少ないそうです。紋錦紗の地色の着物です。 頭髪は明らかに人毛ですね。顔立ちがなかなか愛らしい。写真の撮影角度も有るのでしょうが、女性でしたらすぐにも抱きしめたくなるのではないでしょうか。とても良い出来です。

 

次回をまた、お楽しみに!

 

 それでは<答礼人形>に移りましょう。

 

 

           

 

A- Miss Kagawa・岩村松乾斎

 

静かな面立ちで品格が有ります、着物も蝶が散りばめられ、その下には牡丹でしょうか。顔に合ったような着物の色柄です。 作品の完成度は高くさすがです。

 

所蔵都市 ノースカロライナ州ローリー
所蔵館 ノースカロライナ自然科学博物館

 

お道具:
スタンド、日傘、ぽっくり、草履、扇子、筥迫、
家具:
雪洞、長持、鋏箱、箪笥、針箱、鏡台、鏡、
茶道具(煎茶道具):
茶櫃、茶碗、茶托、湯冷まし、急須、
茶道具(茶の湯道具):
風炉先屏風、台子、水指、茶碗、棗、茶釜、風炉、建水、蓋置、杓立て、杓、茶筅、
釜敷き、

 


 

                       
                          
                     片喰 

 

Miss Kagawa は1928・9・16にノースカロライナ州のローリーでお披露目されたそうです。また、当初贈られた道具類も一緒に残っているのは、58体中5体だそうです。戦時中はケースの中で後ろ向きにされていたそうです。

岩村松乾斎 の作の答礼人形は、ミス・関東州、ミス・宮城、ミス・奈良、ミス・北海道に存在しているのですが、今までにご紹介した以外には資料は残念ながらありません。答礼人形の中には製作者不明が結構ありますので、その中に紛れているかもしれません。

   

              

  

東京の吉徳にて修復しましたが、修正箇所は全部で約16箇所にもおよび、
小道具や人形台に関しては新調しなおしたそうです。

着物の下にまとう長襦袢が見えてます。こんな時でないとなかなか見ることが出来ませんね。

襦袢は、アラビア語のジュッバ(جبة jubbah)」がポルトガル語化した語ジバゥン(gibão)」を漢字に音写した語でしたそうでして、見せる下着から由来しているそうです。(チイトモ知りませんでした!)

             着物の着付け     

 

松乾斉東光・二世による修復完了

 

 

                 

                 東京・吉徳

                  

 

では、今日はこの辺で。 次回はMiss Kyoto をご覧に入れます。 

 

 

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日本の伝統芸能と芸術-021

2012-09-21 | 日本の伝統芸術

 

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                                   その021

 

人形特集-015

        ・・大正・昭和期市松人形

弘法さんと私・M清子さんからお借りしました、二代目光龍斎製作の市松人形達を先々回から再度大きいサイズでご紹介して来ました。今回もその続きを致しましょう。

 

二代目光龍斎作・昭和・68cm

      

 

 ちりめんの着物。 三つ折の抱き人形でしょうか。詳細は不明ですが、一見そのような感じに見えます。

 

 二代目光龍斎作・昭和・43cm

    

 

江戸ちりめんの着物だそうです。きりっとした顔立ちで品があります。小型ですけれど完成度が高いです。

 

 二代目光龍斎作・昭和・38cm 

      

 

小品ながら静かな顔立ちで、上品です。 女の子の着物は紋錦紗、男の子はちりめんの着物羽織。帯は博多。活きですね。

4品とも手入れが良いので、皆綺麗な顔立ちです。人形も幸せでしょうね。

能面の面打ち師や仏師は一人で全てを行いますが、市松人形はその点大変だと思います。頭はともかく、着物は全く別の技術ですから、彫刻の技術は及ばないと思います。全てを一人でこなす方は居られるのでしょうか? 

着物は色使いが意外と難しいかな。木目込み人形でしたら騙しは利くけれど、着物の仕立ては彫刻家にとっては難物でしょうね。普通は頭と着物は別々の方が手がけるでしょうから。

 

 

 いつも市松人形を見て思うのですけれども、頭、着物、懐中物、帯、その他・・どれを取っても、日本の高度な文化を感じます。世界最高の人形ですね。これに及ぶ人形は他国には有りませんでしょう。

次回をまた、お楽しみに!

 それでは<答礼人形>に移りましょう。関西付近まで来ましたね。

 

           

A- 

Miss Mie ・ 瀧澤 光龍斎作 ・81cm

 

 

 ネブラスカ州リンカーン  ネブラスカ大学博物館所蔵

ミズリー州ジョセフ博物館にあったMiss Hyougo Miss Mie  ということで誤って所蔵されておりました。現在は正しい形で二州の博物館に所蔵されております。

 下の写真はネブラスカ大学博物館に記録されているMiss Hyougo。 モノクロ写真ですが、下のMiss Hyugo の着物の柄と同じですよ

 

  里帰りの修復後

                 

                  日本での展示会

        

             調度品

 B-

Miss Hyogo瀧澤光龍斎作

 先程のネブラスカ博物館で誤って当初 Miss Mie と登録されておりました。

ミズリー州・ジョセフ博物館にパスポート、乗船切符、ぽっくり、日傘など、他お道具など完全な形で保管されておりました。1997年3月に里帰りしました。

8体の<青い眼の人形>も一緒に合同展示されました。

             一揃い

              青い眼の人形

          

 

 今でも世界中の何処かで、近所でも、他人を物を無闇にほしがる侵略や、戦争や争いが起こっていますが、文化でお互いを知り助け合う尊さが、この人形交換の歴史的事実でした。不幸にも欲深い双方の人達の考えが勝って、日米が不幸な戦争に突入しました。 今でもこの人形が双方の国内に残っていて良かったですね。 やはり文化は文明に勝るんですね。

国内でも人形店は沢山有りますが、多売薄利の軽薄な人形が数多く見られます。奥深い日本文化を髣髴とさせる人形が巷に見られる日本を取り戻したいですね。そんな意味でも<市松人形>を愛してあげてください。

 

 

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能面と能楽・仏像と仏像彫刻-020

2012-09-14 | 日本の伝統芸術

 

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                                   その020

 

人形特集-014

        ・・大正・昭和期市松人形

 

 しばらくの間ご無沙汰してしまいました。台風15号の災害は思いのほか大きく、今もすこしづつ後始末に追われております。詳しいことは姉妹ブログの「瘋癲老人日記」  http://akanechan.at.webry.info/   をごらんください。

 

 弘法さんと私・M清子>さんからお借りしました、二代目光龍斎製作の市松人形を先回から再度大きいサイズでご紹介しました。今回はその続きを致しましょう。

 二代瀧澤光龍斎作で幾分幼ない顔立ちですが、かわいらしい面立ちです。京言葉で<はんなり>という表現がありますが、人間味が強くなかなかの出来です。弘法さんの紹介では京都四条御旅町「けうゑや並河人形店」の銘紙付きだそうです。江戸縮緬着物を着ております。

 

 瀧澤光瀧斎作 (大正時代)

 

能面的な表現をすると、先回の市松は「小面」、今回は「万媚」というところでしょうか。着物の専門の方が着付けをしておりますので、実にお人形がきりりとして見えます。美術品は事後管理が大変なんです。

次は

紋ちりめんの着物を着た市松さん。顔立ちは静かな表情です。光龍斎の個性が滲み出ております。着物の柄も色彩的に艶やかですね。頭の花飾りは何でしょうか?素晴らしいアクセントが付いております。この作者の作品は共通して品性が感じられます。この方の人格が滲み出ているのでしょう。

 

瀧澤光瀧斎作 (昭和時代) 

 

 

ここで作者を変えてみましょう

 筆者が始めてみた市松人形の作者です。頭の造りは瀧澤作とはまた少し違った感じには見えますが、なかなか良い出来です。眉の毛書きが少し違うのでそのように見えるのでしょう。口の切り方も幾分小さめに彫り上げております。頬の肉の盛り上げも少しふっくらしております。

頭の木地が同じでも、胡粉の盛り上げ、彩色、毛書きで個性が出てきます。上の市松とは頭の木地は違うと思います。

 

大田 徳久作(昭和時代)・・答礼人形作者

 

 錦紗の可愛い着物です。月の形のペンダントを帯に付けております。藤色の素敵な着物です。ちょこっと、小さな足袋が見えております。帯の色も鮮やかな紅花で染め上げた・・・西陣織りでしょうか?

次回も続きます。

 

さ~て、次は恒例の<答礼人形>です

 

 

         

 

A-001 

 Miss Nara ・ 岩村松乾斎作

 

 

所蔵都市 アイダホ州ボイジー
所蔵館 アイダホ州立歴史博物館

   

              九に三つ葉葵              菊水

                            

 

1927年にアメリカに答礼人形として渡ったMISS 奈良は、全国を巡った後に、1928年にアイダホ州ボイジーに到着しました。1994年に修復のために一時帰国し、東京の吉徳株式会社の東光松乾斎作により、修復が行われました。

 

修復後のMIss Nara

 

修復後のMiss Nara

 

この市松人形は以前は Miss Knagawa とされておりました。今のところ、この人形の行方は分かりません。アメリカ国内で個人で所蔵されている市松人形もありますので、その中に紛れているのでしょう。また、オレゴン州に送られて市松人形はMiss Fukuoka なのですが、人形の携行品はMiss Kanagawaのものでした。

このように戦中戦後のどさくさの中で、人形本体と携行品がバラバラになったり、甚だしいのは着物と人形の本体が入れ替わったり、さまざまな事が起こっていたようです。このような混乱はまだ沢山の市松人形にも有ります。

日本に里帰りしたり、専門家が調査したりの中で、これらのことが発見されるのです。今後も数多くの行方不明がありますので、出て来ることでしょう。

 

                           

 

岩村松乾斎作の答礼人形はこの他に、Miss 樺太、関東州、鳥取、香川、福岡などに含まれて居ります。 資料が有るものは今後随時ご紹介しましょう。

 

B-002

 

 

Miss Fukuoka  作者不明

 

                   

上の写真の下に写っている日傘にには「ミス・福岡」という金属板が張られているそうです。オレゴン大学美術館の改装工事に伴う資料整理の中で、このミス・福岡が発見されました。当時。オレゴン州に送られたのは記録によると、Miss 神奈川だったそうです。 

現在の美術館に残っている人形の携帯品(日傘を除く)はMiss 神奈川のものだそうです。現在のところ、Miss 神奈川は行方不明となっております。

          行方不明のMiss Kanagawa

 

 Miss Fukuoka 里帰り特別展示会・ポスター 

        

 

所蔵都市 オレゴン州ユージーン
所蔵館 オレゴン大学美術館

 

                                                       
                                         
  五七桐           丸に三つ葉葵

いずれにしても1927年代のことですから、資料調べも大変です。間違いがあるかもしれません。発見された方は教えてください。まだまだご紹介は続きます。

 

                              

 

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能面と能楽・仏像と仏像彫刻ー019

2012-09-02 | 日本の伝統芸術

 

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         能面と能楽佛像と佛像彫刻 

 

 

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突然、新規ブログ公開しました不定期便

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 先月下旬に西南地方を襲いました台風15号の影響で、インターネット回

 

が奄美大島の山中の崖崩れで崩壊し、9月1日夜やっとほぼ1週間ぶり

 

に回しました。

 

現在、筆者の自宅の庭や畠の修理、改修に奮闘致しております。

 

つきましては ブログは再来週の金曜日から(9/14新規更改致します。

 

宜しくどうぞお願い致します!

 

 

 

天気図を見ますと、南方海域に台風の赤ちゃんが生まれているように見えます。今年は非常に台風の発生が多く、しかも先回のような観測史上最高の風速70m/sもあります。皆様も十分気を付けて下さいね。 (^-^)

 

          9/02 天気図