白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

日本の伝統芸能と芸術-026

2012-10-26 | 日本の伝統芸術

 

日本の伝統芸術と芸能

 

         能面と能楽佛像と佛像彫刻 

                                   その026

 

人形特集-020

  台風21号が通過すると、一挙に晩秋に突入したような陽気になってきました。大陸から乾燥した空気が吹き込んできて、大気の温度も下がり始めました。半月程もすると北国は冬の季節です。早いところでは今月末にも初雪が観測されます。季節は一足飛びです。

さて、M清子さんのコレクションの市松人形のご紹介も残り少なくなりました。本日は作者不明のものも含めてご紹介します。

寶玉斎 やまかさね吉(東京 吉徳)・43cm(明治)

M清子さんによれば、抱き人形と市松人形の中間のような人形だそうです。胡粉の白さが際立っております。今までご紹介した市松の顔の中では、一番白さが目立っております。彩色が薄く胡粉の研ぎ出しが強いのでしょう。

表情にも個性があります。<おゆきさん>という名前が唯一付いているそうです。いかにも何か言いたげな表情ですね。着物の上に着せられている被服の色が鮮やかに浮き出ています。すっきりとした感じです。アクセントの組みひもは素晴らしいです。

丸平 大木平蔵人形店・作者不明・(昭和)43cm

 

答礼人形製作にあったては、京都に依頼された7体全てを大木平蔵人形店が扱ったそうです。調べた限りでは Miss 大日本、Miss京都市、Miss新潟、Miss名古屋市、Miss 大阪市などがあります。しかし、Miss 大日本以外は画像がありません。残念です。

Miss 大日本・スミソニアン美術館・ワシントンDC

           

 

 

丸平 大木平蔵人形店・作者不明・(昭和)43cm 

 

 市松人形には関東市松と京市松の二種類が有るそうです。前の市松と共に確かに特徴的な顔立ちをしています。なかなか微妙なんですが、眼の切り方、鼻の造りと口の切り方に特徴があります。撮影の角度にもよりますが、下の写真の市松の顔立ちはとても上品で美しい。絶品です。言葉では表現が難しいですね。

ただ、筆者は市松人形は素人ですから作者は特定できません。コレクターの亡き祖母から亡き姉に贈られた思い出の品だそうです。亡き祖母は京都三条室町に住んで居られたそうです。

 昔人形 青山」というアンティークのお店が以前は、記憶では前は三条室町だった筈ですが・・・?・・・祖母といわれた方はなかなか目利きの優れた方と推察します。恐らくこのレベルの市松人形は現在では手には入りますまい。

着物の袖の襦袢の布はコレクターが子供の頃に着た襦袢から仕立てたそうです。藤色の着物地に紅葉、楓の葉の図柄でしょうか。

 

        

 

上の市松人形はGankoさんといわれるコレクターの方のブログから転載させてもらった大木 平蔵商店の市松人形だそうです。作者は光龍斎です。いずれにしても、M清子さんのお持ちの市松は、名だたる市松人形師の中でもトップクラスの方(XXX)ですね。 BEST 4は平田 郷陽(二代目)、瀧澤 光龍斎(二代目)、初代・松乾斎東光、XXX の4人です。

初代・松乾斎東光(回掲載した市松人形)です。比較してみてください。

 

この方は関東の人形師の筈ですが?? 表情が良く似てますね。ただ、断定は出来ません。

  次回をまた、お楽しみに!  

 それでは<答礼人形>に移りましょう。   

 

           

 

Miss Totori ・  岩村松乾斎  

 

Miss Miyagi でした。

 

作者 岩村松乾斎
所蔵都市 サウスダコタ州ピア
所蔵館

サウスダコタ州歴史協会文化遺産センター

 

 

 

 

 

人形の紋

九に三つ葉葵
道具の紋

 

 

 

調度品も幾らか残って居るようです。人形研究家高岡美知子氏によれば、この人形はMiss Miyagi であるとしております。しかし、別の情報によると、2009年にマレーシア在住の方がオークションでMiss Tottori を落札したとされ、作者は瀧澤 光龍斎とされています。

そうなると、いったいこの市松人形はどこから贈られた人形なのでしょうか。

Miss Miyagi 

 

この市松人形は Kansas.・カンザスシティー 、Topeka, カンザス州で発見されました。その後宮城県に里帰りをしております。2008年12月現在の記録。

所有者は個人所有。

 

 

 

 

 

 

 

資料が錯綜していてはっきりした事が分かりません。少し時間が掛かりそうです。

左側面

 

それでは次回をお楽しみください!

 

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日本の伝統芸能と芸術-025

2012-10-19 | 日本の伝統芸術

 

日本の伝統芸術と芸能 

         能面と能楽佛像と佛像彫刻 

                                   その025

 

人形特集-019

 

今日は台風21号の影響で大荒れです。 海の岸壁を海水が風に煽られて、県道の2斜線の道路の内側にまで吹き込んできています。海上は白波が立って大荒れです。

これから台風は日本列島をかすりながら北上する気象庁の予想です。台風は21号の右となりにも一個北上しています。 太平洋は大荒れです。

 さて、市松人形のご紹介もだんだん終わりに近くなってきました。M清子さんのコレクションを今回もご紹介させてもらいます。本日は初代・松乾斎東光作です。

       初代・松乾斎東光作-001・43cm 

 

 

松乾斎東光の独特の頭の表情でしょうか。言葉ではなかなか表現しにくいんですが、柔和な静かな面立ちです。背丈は小ぶりな人形です。着物は清子さんによる仕立てです。明るく大人しい柔らかな色合い。人形の表情にマッチしておりますね。

 

      初代・松乾斎東光作・002・55cm

 

 上の人形よりも少し背丈が大きいです。清子さんのコメントによりますと、<睫毛>を目元に付けているとの事。ちょこなんと前を見て立ってます。着物はオリジナルだそうです。色とりどりの模様が着物に付いてます。大人しい華やかさ、賑やかさでしょうか。

二体とも静かな、穏やかな感じがこちらに伝わってきます。素晴らし作品です。二代目松乾斎東光作も初代同様素晴らしい作品が多いです。現在は三代目、四代目松乾斎東光も居られます。 

次回をまた、お楽しみに! 

 

 それでは<答礼人形>に移りましょう。   

 

           

 

  Miss Shizuoka   平田 郷陽 作 

 

 先回に引き続いて平田郷陽作の答礼人形をご紹介します。この市松人形については作者と人形についていた記章がどういう訳か、神戸市になってたこと以外分かりません。

作者 平田郷陽
所蔵都市 ミズーリ州カンザスシティ
所蔵館 カンザスシティ博物館

 

            

                           神戸市市章

 

 

 この人形にも口が切られております。微かですが左頬の部分に剥落が見えてます。修復前はかなり大きかったのでしよう。獣眉の書かれた素晴らしい出来です。後ろの首筋に作者の書き込みがあります。

 

  

人形は修復した後のものです。萌黄色の着物地に牡丹でしょうか、シックな中に華やかさが有ります。帯は朱地に紅葉でしょうか。

 

 

 一見して平田 郷陽作と分かる作品です。以前ご紹介した有名な作品と比較してみてください。

 

 

                                  答礼人形 第1位の作品

                                市松人形 制作年:1927年 

          「吉徳所蔵の作品(右側)

             

  同じ作品(左側)

   

 

平田 郷陽の作品は既に何体かご紹介しましたが、いずれも素晴らしいものばかり。

それでは次回をお楽しみください!

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日本の伝統芸能と芸術-024

2012-10-12 | 日本の伝統芸術

 

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                                   その024

 

人形特集-018

 

 

 <弘法さんと私・M清子さんからお借りしました、市松人形達の資料を基にして、再度大きいサイズでご紹介して来ました。いよいよ 大切なM清子さんの市松人形のコレクションのご紹介の残りもだんだん少なくなって来ました。

それでも大事な作者がありますので、引き続きご紹介させてもらいます。わたくしもインターネットのPC画面の背景画面として、数枚の市松人形を貼らして貰っておりますが、何時もながらの愛らしさに心が和みます。

最近のように余り良いニュースがない状況では、一腹の清涼剤代わりになります。一目見るなり、心のなかで<コンニチワ>と呼びかけてしまいます。

それでは可愛い市松人形をご覧ください。

 

 桜国 ・ (昭和) 43cm

 

静かな面立ちでなかなか上品です。藤色の着物に藤の花と牡丹でしょうか。数種類の草花が浮き出ております。顔に合わせたような派手さはありませんが、綺麗な着物です。 帯もなかなかシックで素敵です。

 

 初菊 (昭和)・68cm

 

 ココア色の縮緬の着物だそうです。虚空のある一点を見つめているような感じ。何を考えているのでしょうか。黒地に花柄の珍しい帯です。頭の口の切り方に個性が有ります。

福沢 大観 (昭和)・43cm

  

 顔の作りが平らかですが、それが返って愛らしい感じが出ています。オカッパという髪型でしょうか。薄っすらとした眉が前髪にそっと見えております。

答礼人形の作家だそうです。東京浅草仲店・大和屋 和田の刻印があるそうです。着物は品のある薄い赤紫の江戸縮緬で、コレクターの作だそうです。全体的に艶やかで可愛い人形です。

 

次回をまた、お楽しみに! 

 

 それでは<答礼人形>に移りましょう。  

 

           

 

 先回もご紹介しました平田 郷陽作の市松人形です。元はMiss Naraとされておりました。

 

 Miss Okayama (元 Miss Nara) ・ 平田 郷陽 作

 

 着物の柄は貝合わせの図柄。珍しいですね。始めてみました。修復後の写真を見たかったですが・・・素晴らしい作品です。

 

所蔵都市 ネバダ州リノ
所蔵館 ネバダ歴史協会

 


菊水
 
 
頭の後頭部に書き込みが有りますね。 どちらで書き込まれたのでしょうか?
 
 
 
 
 
顔は染みが残ってますので、補修前の状態でしょうね。Miss Kyoutofuと同じく歯が造作されて居ります。胡粉を塗りなおし彩色したら、素晴らしく見違えることでしょう。眉は面相筆で一本一本書き込んでいく、獣眉の書き方ですね。良くこの機会にご覧ください。
 

 

 

 調度品も少しは残っているようです。

 

 

着物や顔や手足が幾分煤けておりますが、修復すると見違えると思います。

 

 

着物のデザインがすっきりとした柄模様になっています。

 

 

 次は個人蔵になっている、答礼人形の中の平田 郷陽の作品です。

2011年にロードアイランド州の個人宅で発見

マニアの方か、日本文化の研究者でしょうか。人形自体は完全な状態で残っていたようです。調度品はありませんでした。

修復済みの作品のようです。当時の着物の復元でしょうか。紺の地にすっきりとしたデザインが施されております。帯の柄も色合いも素晴らしい逸品です。一度日本に戻って来て修復されたのでしょう。

 

 

 

この頭も歯が造作されております。一級品ですね。顔の表情も明るく穏やかな顔立ちです。アメリカのどこの州に贈られた人形か分かりませんが、ニューヨークから300km位東の州ですね。 隣接州にマサチューセッツ州があります。

オークションで買われたのでしょうか。人形だけでも残っていて良かった。

 

 

このブログでも平田 郷陽の作品は何体かご紹介しましたが、いずれも素晴らしいものばかり。

それでは次回をお楽しみください!

 

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日本の伝統芸能と芸術-023

2012-10-05 | 日本の伝統芸術

 

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                                   その023

 

人形特集-017

        ・・大正・昭和期市松人形

 

弘法さんと私・M清子さんからお借りしました、二代目光龍斎製作の市松人形達の資料を基にして、再度大きいサイズでご紹介して来ました。

 大切なM清子さんの市松人形のコレクションのご紹介の残りもだんだん少なくなって来ましたが、今までにご紹介しなかった他の作者も含めてご覧ください。

 

春水(光司)作・43cm 

 

静かな個性的な顔の表情です。着物はオリジナルだそうです。穏やかなミカンの香りが漂って来るような感じがします。

他のHPからお借りした<春水>作の市松人形

             

 

 

春日 昭和) 43cm 着物はM清子さん作

 

 本当に愛らしさの漂う可愛らしい市松人形です。M清子さんによれば<作者号によせて地味な色目の桜の模様の着物、帯も桜の刺繍、帯留も桜。拘ってしまった>そうです。 とても素晴らしい。クッキリと桜の花が引き立つ着物です。  唇なんかは何か語り掛けて来そうな感じに見えます。高価そうな帯止めが見えます。

 

  昭和)・43cm 

 

何か心配そうな、哀しそうな顔立ちに見えます。でも、とても可愛らしい。着物は時代を反映した弓矢の羽根の大柄なデザイン。珍しいですね。ピンクのリボンが華やかさを表現しています。

着物はオリジナル。 被服はちりめんでコレクターの作品だそうです。コントラストがハッキリしています。全体的にとても好感が持てます。

 

次回をまた、お楽しみに! 

 それでは<答礼人形>に移りましょう。 

 

           

 

 MISS Kyotofu(京都 宮子 ・ 平田郷陽

 

久しぶりの平田郷陽作が出てきました。八重などの櫻が着物の図案になっております。静かな顔立ちです。

所蔵都市 マサチューセッツ州ボストン
所蔵館 ボストン子供博物館

 

                    
          中陰五七の桐        丸に二つ引き牡丹唐

 

 

初めて口を開いて、歯が見える頭に造作しています。もう、能面の面打ちの女面を見るような感じ。彩色もすばらしい。仏像の彫刻技術と面打ちの技術の成果が現れております。横顔も素敵です。全体として最高の技術レベルです。

 

 

 

 

1975年には, 修復のためボストンから里帰りした「答礼人形」のミス京都府を迎えて,京都市役所で対面式をしています。

 

 

 

では、今回はこの辺で。

 

          

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