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「白洲正子文学逍遥記」
-021
& 能面・仏像・日本人形・・etc
秋篠寺-01
いよいよ南西諸島・奄美大島も北から中国大陸の大陸性高気圧・冬将軍の到来を告げる冷たい風が吹き始めました。乾いた風のおかげで畠が白くなっております。今年は例年になく雨量が少なかったので、秋・冬野菜の植え付けには難渋しております。
遠くフィリッピンではまだ先日の台風30号の被災状況が、未だ判然としていない状態だそうです。一日も早く各国の支援を受けて、一日でも早く、以前の状態に戻ってもらいたいものです。
唐招提寺、薬師寺を経て漸く秋篠寺に辿り着いた。先の二寺に比較して余り観光客が訪れる寺ではないようであるが、知る人ぞ知るというような感じの寺でもある。「十一面観音巡礼」の本文中でも、秋篠寺の由来が細かに書かれている。この寺に開基当初から何かしらオドロオドロしい事情が付きまとっていたようである。隆盛な時期もあったようであるが、明治期の廃仏毀釈の荒波をまともに受けた時期もあった。
創建当時は「内経寺」と称した時期もあった。この寺の一帯は古くから秋篠氏一族が住み着いていた関係で、<秋篠>がこの寺の名前に変わっていったようである。この寺の創建は天智天皇の孫の光仁天皇の勅願の寺である。藤原一族、称徳天皇(孝謙天皇の重祚)、弓削道鏡、和気氏の一族、桓武天皇、藤原蔵下麻呂 etc歴史上の著名な人物が続々と出て来る寺でもある。
秋篠寺・東門
唯、これらの人々と陰謀、暗殺、呪詛などという、オドロオドロシイ物語が纏わり付いているのも、この寺の特徴である。特に後でご紹介する<大元帥明王>はその極め付きかもしれない。
梵天立像・204.8cm
秋篠寺本堂
この仏像は頭部と身体部とで、制作方法が異なっている。頭部は脱乾漆・彩色像で制作年代は奈良時代。身体部は木造で鎌倉時代となっている。保延元年の全山消失の事件がそのような事にかかわっているようである。このような形はこの他に3体ある。(伝伎芸天像、伝救脱菩薩像、帝釈天像、)
伎芸天立像・204.5cm
秋篠寺本堂
大自在天の髪際から化生したとされている。大自在天はインドの最高神・シヴァ神である。この事からもこの秋篠寺が密教と関係が深いことが窺われる。この像も頭部は奈良時代、身体部は鎌倉時代の作である。教科書的にはこちらの仏像が良く紹介されている。
「ちょっと 一服」
話の喫茶店
「紀子妃殿下と伎芸天」
<秋篠>という言葉を聞くと、「秋篠宮」と誰もが連想すると思われるが、何か関係が有るのであろうか・・・・・・・文仁親王殿下が以前秋篠寺を訪れた時、先に紹介した技芸天の像が、紀子妃殿下に良く似ているという事が、きっかけであった・・・・・という話が漏れ伝わっている。
秋篠寺を創建された光仁天皇の母方の氏族は、紀氏という古くからの豪族である。光仁天皇の時代には和気氏と紀氏の一族が栄えた時代があった。妃殿下は川嶋辰彦・和代夫妻の長女として出生された。本籍地は川嶋家父祖の地、和歌山県和歌山である。「紀子」という名前の由来は和歌山の旧名「紀伊国」に由来するのであろうか。
文仁殿下が技芸天からどのようなインスピレーションを受けたのかは定かではないが、超自然的な何かが作用しているのかもしれない。世の中にはこのような事は沢山事例としてある。
次回は「大元帥明王」、「十一面観音菩薩」について書いてみよう。
「能面鑑賞」
男面
小渇食
<渇食>とは、寺に住み僧侶の世話などをする、僧侶見習いの青少年達です。年齢で小、中、大渇食の区別が有ります。額の中央に曲げのような毛書きが有りますので、これで区別が付きmす。見た目は女面に似ては居りますが、眉のところが女面は高眉になりますので、この点が違います。製作難度は女面と同じくらい難しい。
渇食
室町時代・観世家
石川龍右衛門の作とされている。
慈童
室町時代・観世家
「慈童」は妖精の面です。類型面では「猩々」があります。どことなく怪しげな笑いを帯びた表情が唇に見えます。これが下の「童子」と明らかに違う点で、ここをひとつのポイントとして捕らえます。額の毛書きの線は繊細で素晴らしいです。相当の名工の作ですね。
童子
桃山時代・三井家
桃山時代の名工・千種の作とされている。品格があってなかなか宜しいですね。眉を指で隠して見ますと女面と同じように見えます。この手の面は難しいでしょうね。いつも言うことですが、室町、桃山時代の面には名品が多く見られます。写しよりも本面が多いからでしょうか。
本日最後に名品を
作者不詳の名品
増髪・銘 <卯の花>
「増髪」はヒステリックな表情の女面ですが、その中で群を抜いている名品。でも作者不詳。誰の作でしょうかね? これほど美しいのは他になし。
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では