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2015年1月6日

2015-01-09 22:56:11 | 代謝

概日リズムは皮膚幹細胞の代謝と増殖を調節する
Circadian rhythms regulate skin stem cell metabolism and expansion, study finds



カリフォルニア大学アーバイン校の科学者は、皮膚幹細胞の『時計』が、日々の代謝サイクルと細胞分裂の調節において重要な役割を果たすことを明らかにした。1月6日にCell Reportsで発表される研究で、彼らは体内の昼と夜のサイクル、つまり概日性リズムが、どのようにして幹細胞の分化を保護して維持するかについて初めて示す。さらに本研究は、同期した概日時計の狂いが皮膚の加齢と発癌を促進する一因となるメカニズムに対して、新しい洞察を提供する。

生化学と医学の教授Bogi Andersenと生体工学の教授Enrico Grattonは、表皮の特に幹細胞の研究に集中した。表皮は長命の幹細胞によって維持され回復する皮膚の保護層である。摂食と絶食に関連するプロセス、例えば睡眠や摂食行動、代謝などにおける概日時計の役割は十分に知られているが、概日時計が幹細胞の機能も調節するのかについてはほとんど知られていない。

研究者たちはアーバイン校生体工学部蛍光ダイナミクス研究所の新しい二光子励起(two-photon excitation)蛍光寿命画像顕微法(fluorescence lifetime imaging microscopy)を用いて、生きた組織の自然のままの微細環境(microenvironment)で、たった一つの細胞の代謝状態を高感度かつ定量的に測定した。

研究の結果、概日時計はこれらの幹細胞で酸化的リン酸化と呼ばれる中間代謝(intermediary metabolism)を調節することが明らかになった。酸化的リン酸化による代謝は活性酸素を生み出し、DNAや細胞の構成要素に損傷を与える。実際、加齢に関する理論の1つでは、幹細胞での代謝の結果として生じる活性酸素による損傷の蓄積が加齢の原因であるとしている。

AndersenとGrattonの研究はさらに、酸化的リン酸化が最も活発な間は、DNAが最も損傷しやすい細胞分裂サイクルの段階(S期)を回避するように概日時計が細胞分裂のタイミングを移すことも明らかにした。動物での他の研究も概日リズムの破綻と加齢とを関連づけており、Andersenは「幹細胞の代謝と増殖のサイクルにおける同期の狂い(asynchrony)によって加齢が促進される可能性がある」と言う。

「我々の研究はマウスで実施されたものだが、この研究が示唆するところは概日リズムの破綻がヒトの現代社会でもきわめて一般的であるという事実と関係がある。そしてそのような破綻の結果として、幹細胞の異常な機能と加速した加齢が起きるのかもしれない」、彼は言った。

記事出典:
上記の記事は、カリフォルニア大学アーバイン校によって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.単一の幹細胞におけるin vivoでの代謝性変動の検出。

Cell Reports、2014;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150106154607.htm



<コメント>
マウスの表皮の幹細胞で、概日リズムと代謝、そして細胞周期との関係について調べたという記事です。

Abstractによると、マウスが夜に起きている間は表皮幹細胞での解糖系が促進されてNADHの割合が増加し、それは細胞周期のS期への移行と協調的に進行します。

逆に昼の間は酸化的リン酸化が促進されてNADHが使われ(活性酸素が多く発生し)、それにともないS期(DNAの複製)へは進行しなくなりました。Bmal1という概日リズムを調節する遺伝子をノックアウトすると、この概日的な周期変化は消失したとあります。

幹細胞でこのような周期が観察される理由として、研究者は「おそらく酸化ストレスによる傷害から遺伝子を保護するためだろう(perhaps as a protective mechanism against genotoxicity)」と推測しています。

関連記事には今回の記事と関係がありそうなタイトルが並んでいます。

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/10/131010124557.htm
Circadian rhythms in skin stem cells protect us against UV rays
肌の幹細胞における概日リズムは紫外線から我々を守る

http://www.sciencedaily.com/releases/2011/11/111110092354.htm
Biological clock controls activation of skin stem cells
生物時計は肌の幹細胞の活性化を制御する

http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140624110714.htm
Cell division discovery could optimize timing of chemotherapy, explain some cancers
細胞分裂での発見は化学療法のタイミングを最適化し、いくつかの癌を説明する可能性がある

http://www.sciencedaily.com/releases/2013/12/131219134453.htm
Nutrition influences metabolism through circadian rhythms, study finds
栄養/高脂肪食は概日リズムにより代謝に影響する

最後の記事の元となった研究には、今回の記事にも登場したBMAL1の制御が高脂肪食により抑制され、代わりにPPARγが取って代わるとあります(CLOCK:BMAL1↓ PPARγ↑)。PPARγは炎症の応答と脂肪組織の形成に関与するとされています。

・高脂肪食は概日リズムによる転写と代謝を全体的に再プログラムする
A high-fat diet reprograms the circadian transcriptome and metabolome

・高脂肪食はBMAL1の染色体標的箇所へのリクルートを(肝臓で)抑制する
A high-fat diet impairs BMAL1 recruitment to target chromatin sites

・転写の再プログラムにはPPARγによる遺伝子発現の変動が含まれる
Transcriptional reprograming involves PPARγ-driven oscillation in gene expression

・栄養による概日時計のリモデリングは急速だが可逆的である
Remodeling of the circadian clock by nutrients is rapid and reversible



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