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カロリーの取り過ぎが満腹感を阻害する

2016-06-17 06:06:08 | 代謝
Broken calorie sensing pathway: How overeating may lead to more eating

June 15, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/06/160615134450.htm

トマス・ジェファーソン大学/Thomas Jefferson Universityの研究者は、余分な体重がなかなか落ちにくい理由についてとうとう解明し始めた
彼らは今回の新たな研究で、その人がどれぐらいの食物を食べたのかを腸が感知してそれを脳に中継する方法の一つを明らかにした
それによると、カロリーが多すぎることを腸が感じ取ると、満腹感feeling of fullnessを促進する経路がブロックされるという
この研究はNatureが発行する学術誌のNutrition & Diabetes誌で発表される

結腸癌についての以前の研究で、ジェファーソンのシドニーキンメル医学部で薬理学と実験治療学のChairであるScott Waldman, M.D., Ph.D.を中心とする研究者たちは、ウログアニリンuroguanylinというホルモンが肥満にも関与するようだということに気付いたnotice

※グアニリンguanylin: 15のアミノ酸(PGTCEICAYAACTGC)からなるペプチドホルモン

※ウログアニリンuroguanylin: 16のアミノ酸(NDDCELCVNVACTGCL)からなるホルモン。受容体やシグナル伝達はグアニリンと同じで、C型グアニル酸シクラーゼ/guanylate cyclase type-C(GC-C)のアゴニスト。胃の腸クロム親和様細胞/enterochromaffin-like cell (ECL) や腸のクロム親和細胞 (EC)、膵β細胞、腎尿細管細胞で産生される。Cl-分泌とNa利尿作用はグアニリンより強く、経口のNa負荷で合成と分泌が亢進する

以前の研究では肥満ではないマウスでウログアニリンが脳まで移動し、そこで満腹感を生み出すことが示された
しかし、肥満の状態でこのシグナル伝達に何が起きるのかはわかっていなかった

今回の研究で研究者は過剰に食べさせたマウスを調べ、そのマウスの小腸がウログアニリンの産生を止めることを観察した
脳内に存在するウログアニリンの受容体は完全であり、その数が増加してさえいたが、もはやホルモン自体が作られていなかった
これは食べ過ぎovereatingがウログアニリンの産生を妨害することを示唆する
しかしながら、マウスの食事を制限すると/put on a (restricted) diet、グアニリンの産生は再開した

Waldman博士は言う
「興味深いのは、痩せているマウスが食べ過ぎるか、太っているマウスが食べ過ぎるか、それは問題ではなかったということだ
ウログアニリンの産生はカロリーを摂り過ぎるとどちらのグループでも止まった」

これは肥満と関連する別のホルモン、インスリンやレプチンとはまったくの正反対である
それらは体重が増えるにつれて作られる量がさらに増えていく

「ウログアニリンの問題を引き起こすのは肥満の状態ではなく、むしろカロリーだ」

過食がどのようにしてウログアニリンの産生を停止させるのかを明らかにするため、研究者はこのホルモンを作る小腸の細胞を調査した
彼らは小胞体(ER)ストレスが関与する可能性を疑った
ERは体内のタンパク質やホルモンの多くを作る細胞内の小器官で、ストレスがかかると機能を止めてしまうからである

ERストレスを引き起こすことが知られている化学物質のツニカマイシンtunicamycinを投与したところ、マウスのウログアニリンの産生は過食時と同じように停止した

過食させた肥満のマウスに、今度はERストレスを解放することが知られている化学物質を与えると、そのマウスは再びウログアニリンを作り始めた

「合わせて考えると、これらの実験は『過剰なカロリー』、つまりそれが炭水化物からでも脂肪からでも、小腸の細胞にストレスを与えてウログアニリンの産生を止める
ウログアニリンは食後の満腹感を促すので、それがなくなれば満腹になりにくくなる」
Waldman博士は言う

「わからないのは、どれぐらいが過剰になるのか、そしてどのような分子センサーがそのような決定をするのかということである」

「癌と同様、簡単には回復しないほどの肥満になるまでには多くの段階が存在する
ウログアニリンというホルモンの経路はそのような段階の一つであるようには見えるものの、
それが段階の早期で重要なのか後期でなのか、そしてどれほどの役割を演じているのかは不明である」
Waldman博士は言う

「しかし、ウログアニリンホルモン補充は、他のアプローチとを組み合わせることで肥満を回復するための重要な要素となるかもしれない」


http://dx.doi.org/10.1038/nutd.2016.18
Calorie-induced ER stress suppresses uroguanylin satiety signaling in diet-induced obesity.
食事による肥満において、カロリーによって誘発されるERストレスはウログアニリン満腹シグナル伝達を抑制する

要旨
Abstract

背景/目的
Background/Objectives:
ウログアニリンとその受容体GUCY2C、そして腸と脳とのつながりaxisは、摂食、エネルギー恒常性homeostasis、体容積body mass、代謝を調節する要素の一つであることが明らかになってきているemerge
今回我々は、食事によって誘発される肥満/diet-induced obesity (DIO) の根底にあるメカニズムにおいて、このつながりaxisが果たす役割を調査した


対象/方法
Subjects/Methods:
腸のウログアニリン発現と分泌、ならびに視床下部のGUCY2C発現と食欲不振誘発性シグナル伝達anorexigenic signalingを、高カロリー食を14週間与えたマウスで定量化した

DIOにおけるウログアニリンの抑制で小胞体(ER)ストレスが果たす役割を調査するため、ERストレスを誘発するツニカマイシン/tunicamycinと、ERストレスを防ぐ化学シャペロンのタウロウルソデオキシコール酸/tauroursodeoxycholic acid (TUDCA) を使用した

ウログアニリン発現に対する消費カロリーの影響を、食事の操作manipulationによって調査した

肥満の根底にあるメカニズムにおいてウログアニリンが果たす役割を調査する際に使用したのはCamk2a-Cre-ERT2-Rosa-STOPloxP/loxP-Guca2bのマウスで、タモキシフェンを投与することによりマウスの脳内にトランスジェニックなホルモン発現を誘導する


結果:
食事によって誘発される肥満(DIO)は腸のウログアニリン発現を抑制し、食後の血液循環への分泌を喪失させた

DIOがウログアニリンを抑制したのはERストレスを通じてであり、ツニカマイシンによって同様の効果が得られ、TUDCAによって阻害された

DIOによるウログアニリンホルモン抑制は、病態生理学的な肥満の環境milieuよりもむしろ消費カロリーを反映した
なぜならas、炭水化物による高カロリー食は痩せたマウスでもウログアニリンを抑制した一方で、カロリー制限は肥満のマウスでウログアニリンの発現を回復したからである

しかしながら、視床下部のGUCY2C(特に弓状核で発現が高い)は
外からのアゴニスト投与により満腹感を仲介する食欲不振誘発性シグナルanorexigenic signalsを生じた
そしてDIOはこれらの応答を損なうことはなかった

脳内でのトランスジェニックの発現によるウログアニリンの補充replacementは
DIOとその関連する病態comorbidity(内臓脂肪visceral adiposity、グルコース不耐性、脂肪肝)にもかかわらずopposing、
ホルモンの不足を回復repairし、満腹の応答を復元reconstituteした

結論:
これらの研究は肥満に寄与する新たな病態生理学的メカニズムを明らかにする
そのメカニズムとは、腸のウログアニリンがカロリーによって抑制されることが
食欲不振誘発性の内分泌シグナル伝達を失わせて
摂食を調節する視床下部のメカニズムを損なうというものである

その相補的な治療枠組みcorrelative therapeutic paradigmが示唆するのは、
ホルモンは不足しているが受容体の感受性は維持されているという状況において
肥満はGUCY2C受容体のリガンドとなるホルモン補充によって阻止または治療できるかもしれないということである


Materials and methods
Diets

Diet 5010 (LabDiet, St Louis, MO, USA)
低カロリー食
(3.1 kcal g−1, カロリー比率は脂肪12.7%, 炭水化物58.5%、タンパク質28.8%)

Diet 58Y1
高カロリー、高脂肪食
(5.1 kcal g−1, 脂肪61.6%、炭水化物20.3%、タンパク質18.1%)

Diet 58Y2
中カロリー、高炭水化物食
(3.8 kcal g−1, 脂肪10.2%、炭水化物71.8%、タンパク質)

随意の摂食で6週齢から20週齢まで維持

可逆的なウログアニリン喪失の研究では、マウスは低カロリー食の5010または高カロリー食の58Y1のどちらかで18週間維持、または高カロリー食の58Y1で14週間維持
そして次に低カロリー食の5010に戻されて4週間

ob/ob系統での研究では、随意摂食、または低カロリー食の5010を1日3グラムに制限させ、6週間維持



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/bfd19fa7951ad286a8a1a4165424c086
マウスの肥満はグアニリンという腸上皮で作られるホルモンの喪失と関連し、グアニリンは増殖を制御する腫瘍抑制因子として働く



<コメント>
飢餓に備えて満腹感を低下させる仕組みなのかもしれない

関係ないが、トーマス・ジェファーソン大学の設立者はトーマス・ジェファーソンさんじゃなかった

https://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Jefferson_University
>History
>a group of Philadelphia physicians led by Dr. George McClellan
 

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