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高脂肪食が炎症を引き起こすにはマクロファージの脂肪酸合成が必要

2016-11-04 06:06:26 | 代謝
Cause of inflammation in diabetes identified

November 2, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/11/161102080309.htm


(食事中の多すぎる脂肪は慢性炎症を刺激することによりインスリン抵抗性を促進する
上の図は、免疫細胞(緑色)が脂肪酸を合成し、糖尿病に関する炎症に寄与することを示している
ワシントン大学医学部の研究者は免疫細胞で脂肪酸の産生を阻害する方法をマウスで開発し、そのマウスは高脂肪食によって誘発される糖尿病から保護された

Credit: Semenkovich lab/ Washington University)

糖尿病の患者が心臓発作heart attackや脳卒中stroke、腎疾患などの関連する合併症complicationを経験する主な理由の一つは炎症inflammationである
ワシントン大学セントルイス校医学部の研究者は今回発表された驚くべき研究の中で、慢性的な炎症の引き金となる可能性のある原因を特定した

食事中の多すぎる脂肪fatは、慢性的な炎症に拍車をかけるspurことによりインスリン抵抗性を促進する
しかしワシントン大学の研究者たちはマウスを使った研究で、特定の免疫細胞が脂肪fatを作れないようにしたマウスは高脂肪食high-fat dietを食べても糖尿病も炎症も起きないことを明らかにした
この研究はNature誌のオンライン先行版advance online publicationで11月2日に発表された


「世界の糖尿病患者の数は過去20年で4倍になっている」
首席研究者senior investigatorのClay F. Semenkovichは言う
彼は教授職のIrene E. and Michael M. Karl Professorであり、セントルイス校の内分泌・代謝・脂質研究学部/Division of Endocrinology, Metabolism & Lipid Researchの学部長directorである

「我々は糖尿病の人々が心臓発作や脳卒中にならないようにする予防についてはそれなりの進歩をしてきた
しかしながら、適切な治療を受けている人々でも慢性的な炎症によって刺激される合併症で死ぬ可能性は今なお高く、そのような炎症は少なくとも部分的には免疫細胞によって引き起こされる」

「しかし、免疫細胞の内部で作られる脂肪を阻害することによって、炎症を防ぐことが可能かもしれない
それは糖尿病の患者だけでなく慢性的な炎症が関与する他の病態、例えば関節炎や癌でも当てはまる
これは健康に深い影響を与えうる」


Semenkovichのチームは遺伝子を操作したマウスを作成し、マクロファージという免疫細胞で『脂肪酸合成酵素/fatty acid synthase (FAS) 』という酵素を作れないようにした
この酵素がないマウスは、細胞の正常な代謝の一部である脂肪酸合成が不可能になる


「驚いたことに、このマウスは高脂肪食によって誘発される糖尿病から保護されることが判明した」
内科学の専任講師/instructor of medicineで、筆頭著者first authorの Xiaochao Wei, PhDは言う

「このマウスは、通常なら高脂肪食によって誘発されるインスリン抵抗性や糖尿病を発症しなかった」


マウスと培養細胞の一連の実験から、内部で脂肪酸を合成できないマクロファージは、その外側の細胞膜が細胞外側から来る脂肪に反応できないことが判明した
それによりマクロファージは炎症の一因となることができなかったのである


しかし、炎症の完全な消去は糖尿病合併症の予防の答えではない
なぜなら炎症は体内から感染の病原体を除去するためにも必要不可欠であり、同時に傷の治癒を助けもするからである
それでも、Semenkovichは今回の新たな研究結果が臨床的に深い意味を持つかもしれないと言う

彼は次のように説明する
「脂肪酸合成酵素の阻害剤は実際に癌の治療法として現在臨床試験中である
糖尿病でも、脂肪酸合成強訴を阻害する他の薬剤が開発されている
我々の研究が示唆する一つの可能性は、細胞膜の脂肪の量を変化させることが癌の転移や糖尿病の合併症の阻止を助けるかもしれないということだ」


脂肪酸合成を阻害するために現在使われている薬剤や、そして他の開発中の戦略も、マクロファージが病原体と戦うための能力を完全には消さずに慢性的な炎症を阻害できるようにする可能性がある


研究者たちは細胞の脂質の構成を変化させる既存の薬剤の化合物を調べる計画である
そのような薬剤は臨床試験には失敗しているが、マクロファージの細胞膜に影響を与えることにより糖尿病の合併症リスクを低下させるかもしれないとSemenkovichは言う


http://dx.doi.org/10.1038/nature20117
Fatty acid synthesis configures the plasma membrane for inflammation in diabetes.
脂肪酸合成酵素は糖尿病における炎症のための細胞膜を修正する

食事中の脂肪は慢性炎症を通じて病的なインスリン抵抗性を促進する(1, 2, 3
マクロファージによって作られる炎症性タンパク質の不活性化は、そのような食事によって誘発される糖尿病を改善するが(4、しかし栄養の密な食事/nutrient-dense dietsがどのようにして糖尿病を誘発するのかは不明である

細胞膜の脂質は自然免疫応答に影響を与え(6、
それには『(コレステロールが豊富な)ドメイン』が必要である(7
このドメインは高脂肪食によって誘発される慢性的な炎症に影響し(8,9、リン脂質の構成を基盤とする細胞機能を変化させる(10

脂肪酸合成酵素 (FAS) によって仲介される(11 内因性の脂肪酸合成は、膜の構成に影響する
今回我々はマクロファージのFASが食事によって誘発される炎症に絶対必須indispensableであることを示す

FASをコードするFasn遺伝子をマクロファージで消去すると、食事によって誘発されるインスリン抵抗性が阻止され、マクロファージの脂肪組織へのリクルートと慢性炎症が防がれた

FASの欠損は膜秩序と膜構成/membrane order and compositionを変化させ、細胞膜コレステロールの保持を損ない、Rho GTPアーゼの輸送を妨害するdisrupt
Rho GTPアーゼの輸送は、細胞の接着、移動、活性化に必要なプロセスである

構成的に活性化するRho GTPアーゼを発現させると、炎症性シグナルは回復した
外からのパルミチン酸/exogenous palmitateを投与しても、内部からの脂質/endogenous lipidsとは異なるプールに区分けされてpartitioned、炎症性シグナル伝達を回復しなかった


しかしながら、外からのコレステロール/exogenous cholesterolや、他の平たんなステロール/planar sterolsは、シグナル伝達を回復した
コレステロールは、FASによって誘導される膜秩序の混乱を回復した

我々の結果は、マクロファージ内部の内因性の脂質の産生が、外因性の脂質によって誘発されるインスリン抵抗性の発生に必須であることを示す
そしてそれは、コレステロール依存的なシグナル伝達ネットワークを組み立てるための『受容的な環境/receptive environment』を細胞膜に作り出すことを通じてである


http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/fig_tab/nature20117_SF10.html

Figure 10

※coprostanol: コプロスタノール。コプロステロールcoprosterolとも

a, 一般化された『平たんな構造のステロール』と『平たんではない構造のステロール』。マクロファージに負荷するために使う

b, 細胞膜でのFAS依存的なコレステロール保持がJNK活性化につながる様子を図にしたもの
FASが欠損した状態ではリン脂質環境の不飽和脂肪酸レベルが高いことが特徴であり、
FASが完全repleteな状態ではリン脂質に飽和脂肪酸が豊富である
このリン脂質の図は概要を表現したものであり/depicted schematically、不飽和脂肪酸の構造を真に表すことを意図していない



※Rho(Ras Homolog)、Rac(Ras-related C3 botulinum toxin substrate)
低分子量Gタンパク質は『Ras、Rho、Rab、Ran、Sar/Arf』という5つのファミリーに分類され、
Rhoファミリーは『Rho、Rac、Cdc42』という3つのサブファミリーからなる
Rhoファミリーの活性は『Rhoグアニンヌクレオチド交換因子 (Rho GEF)、Rho GTPase活性化タンパク質 (Rho GAP)、Rhoグアニンヌクレオチド解離阻害因子 (Rho GDI) 』により制御される



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/3787e596bc6ddff6d2af0918968ced08
コレステロールは細胞の移動で重要な役割を果たす

 

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