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2015年1月6日

2015-01-07 23:00:29 | 

研究者は、癌を促進する重要な遺伝子を発見する
Researchers uncover key cancer-promoting gene



癌生物学の謎の1つは、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-beta)がどのようにして癌の形成を止めたり、増殖を促進できるかということである。ミシガン大学総合がんセンターの研究者は、このパラドックスを説明して潜在的な治療目標を提供するかもしれない重要な遺伝子を発見した。

TGF-betaは腫瘍サプレッサー遺伝子として知られ、細胞が正常に成長するよう抑えておくために必要である。しかし、ある時点でその機能は反転して腫瘍プロモーターとなり、癌の悪性の増殖と浸潤を促進する。今回、研究者はTGF-beta受容体の調節に関与する重要な遺伝子としてBub1を特定し、Science Signalingで発表した。

「Bub1が受容体レベルで関与するというデータは完全に予想外である」、研究ディレクターのAlnawaz Rehemtulla博士は言う。彼は放射線腫瘍学と放射線医学のRuth Tuttle Freemanリサーチ・プロフェッサーであり、ミシガン大学メディカルスクール分子画像化診断センターの共同ディレクターでもある。

「Bub1は細胞分裂での役割で有名だが、今回の発表はそれをTGF-betaと結びつける最初の研究である。我々は、これが腫瘍プロモーターであり腫瘍サプレッサーでもあるというTGF-betaのパラドックスを説明するかもしれないと考えている」、彼は付け加えた。



ミシガン大学研究者チームのShyam Nyati博士とBrian D. Ross博士たちは、TGF-beta受容体を調節する遺伝子をスクリーニングする方法を開発した。肺癌と乳癌細胞についてヒトゲノムの720の遺伝子がスクリーニングされ、TGF-betaシグナルにおいて有力な役割を果たす遺伝子としてBub1が現れた。Bub1はTGF-beta受容体と結合して、悪性の細胞増殖のスイッチを入れる。研究者がBub1を阻害すると、TGF-beta経路は完全にシャットダウンされた。

悪性のがん細胞の特徴を示す細胞では、TGF-betaが関与することが知られている。研究者は、Bub1が様々なタイプの癌細胞で強く発現することも知っていた。Bub1は様々な種類の癌で見られるため、それを標的にする薬は多くのがんに影響を与える可能性がある。

Bub1を標的にする化合物は開発されてはいるが、患者で試験する準備はまだできていない。ラボの実験では、Bub1阻害剤が他の細胞に害を引き起こすことなくBub1のみを標的にできることが示唆される。

「癌での遺伝子の発現でBub1はトップ5に入る。加えて、Bub1発現レベルは肺癌と乳癌患者の転帰と相関する。しかしそれがなぜかはこれまで不明だった。その関連が判明した今、我々はこのサイクルのシャットダウンに一歩近づいた」、Rehemtullaは言う。

記事出典:
上記の記事は、ミシガン大学健康システムによって提供される素材に基づく。

学術誌参照:
1.セリン/ThrキナーゼBUB1のキナーゼ活性は、TGF-βシグナルを促進する。

Science Signaling、2015年1月;

http://www.sciencedaily.com/releases/2015/01/150106140820.htm

<コメント>
TGF-βシグナルは癌の抑制と悪性化の両方に関与しますが、そのシグナルを調節する遺伝子としてBub1を特定したという記事です。

Abstractにはこう書かれています。

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TGF-βと結合すると、TGF-βI型受容体/TGFBRIは、TGFBRIIと結合して、転写因子SMAD2とSMAD3を活性化する。

BUB1キナーゼは、TGF-βが存在すると、TGFBRIと相互作用して、TGFBRIIとのヘテロ二量体化を促進し、さらにTGFBRIIとも相互作用して三量体を形成することが示唆される。

BUB1ノックダウンは、受容体複合体へのSMAD3のリクルート、SMAD2とSMAD3のリン酸化、そのSMAD4との相互作用、SMAD依存的な転写、TGF-βによる細胞表現型における変化(上皮間葉転換EMT/移動/浸潤)を阻害する。

BUB1ノックダウンは、非古典的なTGF-βシグナル(AKTキナーゼ、p38 MAPKキナーゼ)を抑制する。

BUB1のTGF-βシグナルの促進はキナーゼ活性に依存する。BUB1のキナーゼ活性の阻害剤2OH-BNPP1またはキナーゼが失活する変異は、TGF-βシグナルならびに受容体の三量体形成を抑制した。

2OH-BNPP1を肺癌異種移植lung carcinoma xenograftマウスへ投与すると、腫瘍組織でのSMAD2リン酸化は減少した。

これらの発見は、TGF-β経路におけるBUB1のキナーゼとしての機能を示す。細胞周期と染色体の接着chromosome cohesionにおけるその確立された機能を超えた役割において。
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TGF-βが初期の癌は抑制するものの後期にはEMTを誘導するということは以前からよく知られています。


http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/a634de2c32256ddde7e64a3859950fcb
>周囲のストロマ細胞によるHSF1の活性化が、TGF-βとSDF1により悪性化を進行させる。

http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/b825f66ef0fd430b04ceec445e4acf32
>基底細胞型の乳癌では、ZEB1遺伝子の状態は、抑制化と活性化のマーカーが遺伝子上に共存していて曖昧である。
>これらの細胞がTGF-βのようなシグナルに触れると、抑制マークは取り除かれて、ZEB1が発現する。それにより基底細胞型の非CSCはCSC(癌幹細胞)に変化する。

http://www.jci.org/articles/view/76711
>TGF-β signaling acts as an oncogene in basal breast tumors, in which it promotes EMT and metastasis, and acts as a tumor suppressor in luminal tumors, in which it is downregulated (54, 55).


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