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肥満を治療するための新たな薬剤送達アプローチ

2016-05-06 06:06:40 | 代謝
New drug-delivery approach holds potential for treating obesity

May 2, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/05/160502161116.htm


(Top) Stimulating the growth of new blood vessels (angiogenesis) in adipose tissue transforms the tissue from fat-storing white tissue to fat-burning brown tissue.

A schematic of the nanoparticle (bottom left) that MIT and Brigham and Women’s Hospital researchers used to deliver angiogenesis drugs to adipose tissue.

(Bottom right) The nanoparticles imaged by transmission electron microscopy.

Credit: Courtesy of the researchers)

マサチューセッツ工科大学(MIT)とブリガム・アンド・ウィメンズ病院/Brigham and Women's Hospital(BWH)の研究者は、複数の抗肥満薬antiobesity drugsを脂肪組織に直接送り届けるナノパーティクルを開発した
このナノパーティクルを過体重のマウスに投与すると25日で体重の10パーセントが減り、そして何も副作用を示さなかった

この薬剤は脂肪を蓄える細胞から構成される白色脂肪組織を、脂肪を燃焼する褐色脂肪組織へと変換することによって作用する
加えてこの薬剤は脂肪組織で新しい血管が成長するのを刺激する
血管形成はナノパーティクルによる標的化を増強reinforceし、白色から褐色への変換を手助けする

これらの薬剤は以前から存在するものであり、肥満の治療目的ではFDAによって承認されてはいない
しかし研究チームは脂肪組織だけに蓄積するように送り届ける新たな方法を開発し、体の他の場所に望ましくない副作用が出るのを回避するのを助ける

「今回の方法の利点は、特定の領域にのみ標的を絞ることで全身には影響を与えないということである
それは肥満に対して望ましいプラスの影響を発揮するが、マイナスの影響はもたらさない」
Robert Langerロバート・ランガー)は言う
彼はMITのDavid H. Koch "Institute Professor"であり、David H. Koch総合がん研究所の一員でもある
Langerは、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院ナノメディシン・バイオマテリアル・ラボのディレクターであるOmid Farokhzadと共に今回PNASで発表された論文の首席著者である
論文の筆頭著者lead authorsはそれぞれ以前MITとBMHのポスドクだったYuan XueとXiaoyang Xuである


脂肪組織を標的にする
Targeting fat

Langerたちは以前、血管新生angiogenesisと呼ばれる新しい血管の成長を促進することがマウスの脂肪組織の変換を助け、体重減少につながることを示している
しかしながら、血管新生を促進する薬剤は体内の残りの部分にとって有害となりうる

この問題を克服するためにLangerとFarokhzadは癌などの疾患を治療するために彼らが最近開発したナノパーティクル/微小粒子nanoparticleで薬剤を送り届ける方法に着目した
このパーティクルparticleを疾患の箇所へ向かわせることにより効果的な用量を送ることが可能となる一方で、他の領域への薬剤の蓄積は最低限になる

研究者はパーティクルのデザインとして中心の疎水性領域で薬剤を運べるように設計し、他の多くの薬剤送達パーティクルなどで使われるPLGAというポリマーを結合させた

※PLGA: Poly(Lactic-co-Glycolic-acid)、乳酸-グリコール酸共重合体

彼らはそのパーティクルの中にロシグリタゾンrosiglitazoneまたはプロスタグランジンE2prostaglandin E2(PGE2)という2つの異なる薬剤のどちらかをパッケージングした(ロシグリタゾンは糖尿病の治療用として承認されたものの副作用のために広く使われることはなかった)
この薬剤はどちらも細胞のPPARという受容体を活性化させて、血管新生と脂肪の変換を刺激する

ナノパーティクルの外側の殻はPLGAとは別のポリマーであるPEGから構成され、そこに正しい目的地へパーティクルをガイドするための『標的化分子targeting molecules』が埋め込まれるembedded
この標的化分子は、脂肪組織を囲む血管の内層で見られるタンパク質に結合する

※PEG: polyethylene glycol、ポリエチレングリコール。酸化エチレンと水が縮重合したもの。HOH2C(CH2OCH2)nCH2OH
※[中心部] 薬剤 - PLGA - PEG - 標的化分子 [外側]


高脂肪食を与えられて肥満になっていたマウスでこのパーティクルをテストしたところ、体重は約10パーセント減少し、コレステロールとトリグリセリド(ヒトの体脂肪を主に構成する分子)のレベルも低下した
肥満では2型糖尿病のリスク要因であるインスリンへの感受性低下がしばしば生じるが、実験したマウスではインスリン感受性も上昇した
ナノパーティクルは1日おきに25日間投与されたが、マウスに副作用はまったく見られなかった


デレバリー・チャレンジ
Delivery challenges

このパーティクルは現行のシステムでは静脈内に注射されるが、それは肥満関連疾患の著しいリスクに晒されている病的な肥満患者にとってさらに適したものになる余地がありうるcouldとFarokhzadは言う

「これをより広く肥満の治療に適したものにするため、我々はこの標的化されたナノパーティクルを投与するためのより簡単な、例えば経口投与のような方法を提供しなければならない」

ナノパーティクルを経口投与で送り届ける際の難題challengeは、それらが腸の上皮を通り抜けるのが難しいということである
しかしながら、以前の研究でLangerとFarokhzadは抗体でコーティングされたナノパーティクルを開発した
この抗体は腸の上皮細胞の表面に存在する受容体に結合し、ナノパーティクルが消化管を通じて吸収されることを可能にする

さらに最近の研究でFarokhzadたちは別の経口デリバリーナノパーティクルを開発した
これは体内で鉄の輸送に関与するトランスフェリンというタンパク質を使い、腸の壁を越えてナノパーティクルが能動的に輸送されるのを促進する

彼らはナノパーティクル用のさらに特異的な脂肪組織の標的を見つけたいとも考えており、それは副作用の可能性をさらに低下させうるものになるだろう
また、より毒性の低い他の薬剤の利用も調べることになるかもしれない

Farokhzadは言う
「今回の研究結果は、白色脂肪組織を選択的に標的化することで『褐色化』して体が脂肪を多く燃やせるようにするための概念実証proof-of-concept的なアプローチである
この技術はこれから開発されるかもしれない他の薬剤分子や、いずれ現れるcome upかもしれない他の標的で使われる可能性があるだろう」


http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1603840113
Preventing diet-induced obesity in mice by adipose tissue transformation and angiogenesis using targeted nanoparticles.

Significance
今回我々は標的化されたナノパーティクルによるアプローチを記述する
これはPPARγを活性化させる薬剤またはプロスタグランジンE2アナログのどちらかを封じ込めencapsulateたものであり、それぞれ脂肪組織の転換transformationと血管新生を誘発し、白色脂肪組織から褐色脂肪組織への転換を促進する
標的化ナノパーティクルは、そのままの薬剤や、標的化されていない対照ナノパーティクルと比較して、マウスモデルで抗肥満効果を示す

Abstract
脂肪組織の拡大expansionと転換transformationには能動的activeな心血管の成長を必要とすることを考えれば、血管新生angiogenesisは肥満関連疾患を治療するための潜在的な標的をもたらす

今回我々はPPARγ活性化因子のロシグリタゾンまたはプロスタグランジンE2アナログ(16,16-ジメチルPGE2)を脂肪組織の血管に送り届けるための、ペプチドにより機能的なものにされたfunctionalizedナノパーティクル・プラットフォームを構築した

これらのナノパーティクルは、生分解性biodegradableの3つの単位blockからなるポリマーの自己集合self-assemblyにより設計され、PLGAとPEG(PLGA-b-PEG)と上皮を標的とするペプチドの末端同士が結合end-to-end linkageしたものから構成される

※PLGA: poly(lactic-coglycolic acid)
※PEG: poly(ethylene glycol)

このシステムでは放出されたロシグリタゾンが褐色脂肪組織への転換と血管新生を両方とも促進promoteするが、血管新生は『標的化ナノパーティクル』が脂肪組織で形成された血管angiogenic vesselへとホーミングされるのを容易にしてfacilitate、それによりさらにデリバリーを増幅させる

我々はこれらのナノパーティクルの静脈内投与が白色脂肪組織の血管を標的にすることが可能であり、加えて脂肪組織の転換に必要な血管新生を刺激し、白色脂肪組織を褐色様の脂肪組織へと転換できることを、
血管新生と褐色脂肪組織のマーカーmarkerが上方調節されることにより示す

(高脂肪食の)食餌による肥満マウスモデルにおいて、これらの血管新生-標的化ナノパーティクルは対照群と比較して体重増加を阻止し、コレステロール・トリグリセリド・インスリンを含む複数の血清学的マーカーを調整した

これらの研究結果は、血管形成の刺激因子を積み込んだナノパーティクルを用いた血管新生-標的化の部分moietiesが、肥満とその他の代謝疾患metabolic diseasesの臨床的な治療のための効果的な処方計画regimenに組み入れられうることを示唆する



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https://www.sciencedaily.com/releases/2016/04/160412132029.htm
VEGFB/VEGFR1による脂肪組織の毛細血管の拡張は2型糖尿病を緩和する

 

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