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mTORは寒さによる脂肪細胞のベージュ化に重要

2016-02-24 06:04:00 | 代謝
'Beiging' white fat cells to fight diabetes

Penn Study reveals a signaling pathway required for beige fat formation

February 16, 2016

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160216181706.htm


(Credit: Cassie Tan , PhD, Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania)

研究者はどのようにして白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞へと変換するのか、その答えへと徐々に近づきつつある
その目的は白から褐色へ変化させる『ベージュ化beiging』というプロセスで血糖レベルを低下させて糖尿病と戦うためである
ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院で生理学の助教授assistant professorであるJoseph Baur, PhDが率いる研究チームは、その研究結果を今月号のDiabetesで報告した


「白色脂肪のベージュ化は、過剰なカロリーを燃焼して血糖を低下させることで糖尿病と戦うために利用できるかもしれない」
Baurは言う

「我々の研究はmTOR経路の活性化がこのプロセスで重要な役割を演じることを示唆する」

ベージュ脂肪細胞の誘導は肥満と戦うための有望な戦略であると考えられている
なぜならベージュ脂肪細胞にはグルコースと脂質を代謝する能力があり、その結果生じたエネルギーを熱として消失dissipateさせるからである

褐色・白色脂肪細胞は体内での役割が異なる
白色はエネルギーを巨大な脂肪滴として貯蔵するが、褐色の脂肪滴は小さく、脂肪を燃焼して熱を作ることに特化されている
そのため褐色脂肪細胞には鉄が多いミトコンドリアが詰め込まれ、鉄の多さから色が褐色になる
実際、赤ん坊は体温を維持するために上背部upper backと肩に褐色脂肪が多い状態で生まれ、
成人では褐色脂肪細胞の集積depotsが体重の少なさと関連することが明らかになっている

褐色細胞状の脂肪細胞は『ベージュ脂肪細胞beige adipocyte』と呼ばれ、寒冷や他のシグナルに応じて白色脂肪細胞の堆積depositする中に見られる
体内のエネルギーバランスは褐色/ベージュ脂肪細胞の影響を受ける
それらは気温の低さや他のシグナルによって作用を開始するように刺激され、脂肪や炭水化物を燃焼する


今回の研究で使われた主なツールはラパマイシンである
この薬剤はmTORというタンパク質を阻害し、mTORは『ラパマイシンの機構的標的/mechanistic target of rapamycin』の略である
mTORはmTORC1とmTORC2という二つの異なるタンパク質複合体で共通して見られる

ラパマイシンは初めて発見されたのが『ラパ・ヌイ島/Rapa Nui(イースター島/Easter Islandの別名)』であることからその名がついた
現在は臓器移植の免疫抑制剤immunosuppressantとして使われているが、最近マウスで寿命を延長することが発見されたことから注目を集めている

興味深いことに、2012年にBaurのラボはラパマイシンがインスリン抵抗性を引き起こすことを発見し、それはmTORC1とmTORC2複合体によって制御されるmTORシグナル伝達経路を両方とも阻害するためだった
彼らは原則としてin principleこれらの二つの経路が区分されうることを動物モデルで示し、どちらの経路が寿命への影響を制御するのかを(内分泌への影響に対して)切り離した

生理学の点から見ると、mTORシグナル伝達は血糖レベルとコレステロールレベルの制御に関与し、その阻害は糖尿病リスクを増大させる
以前の研究でmTORC1の阻害は白色脂肪細胞のベージュ化を促進することが示唆されていたが、Baurの今研究はmTORC1の活性が実際には寒冷によって誘導される白色脂肪細胞のベージュ化に必要であるという概念を支持する
もしmTORC1の活性化が直接同じ結果を引き起こすなら、このアプローチは潜在的に糖尿病との戦いに応用できるかもしれない


寒冷やある種の薬剤は特定の神経伝達物質の経路を活性化してベージュ脂肪細胞の出現を誘導する能力を持つが、Diabetes誌の研究で研究チームはラパマイシンがそのような能力を阻害することを示す
それゆえに、ラパマイシンを投与されたマウスは寒冷に対して不耐性になり、より寒い環境に移動すると体温と体重を維持することに失敗する

この研究結果は、白色脂肪細胞の集積する中にベージュ脂肪細胞をリクルートすることにおけるmTORC1のポジティブな役割を実証する
これはmTOR阻害による代謝的にネガティブな影響のいくつかについて説明になりうる


「我々の研究は、mTORシグナル伝達と代謝との間の複雑な相互接続を強調する」
Baurのラボでpostdoctoral fellowである筆頭著者のCassie Tran, PhDは言う

「将来、ネガティブな代謝的影響を引き起こすmTOR下流の標的を特定することが重要だろう
より良い薬剤を、そしていつかは寿命healthspanを延長する薬剤を作るために」

※ラパマイシンでマウスの寿命は伸びるが、代謝的な悪影響があるためこんなことを書いているようだ

「今回のベージュ脂肪形成にとって重要なシグナル伝達経路の発見は、この経路を標的にする好機であることも示唆する
熱を作る細胞の数を増やして、肥満または糖尿病患者を治療するために」


http://dx.doi.org/10.2337/db15-0502
Rapamycin blocks induction of the thermogenic program in white adipose tissue

ラパマイシンはマウスの寿命を伸ばすが、逆説的に脂質調節不全とグルコース不耐性を引き起こす
しかしそのメカニズムは完全には理解されないままである

全身のエネルギーバランスはベージュ脂肪細胞/ブライト脂肪細胞(brite: brown in white)によって影響されうる
それらは寒冷や他の刺激によってβ-アドレナリン作動性シグナル伝達を通じて白色脂肪の貯蔵所depotsにおいて誘導可能であるinducible

ベージュ脂肪細胞の誘導は肥満と戦うための有望な戦略であると考えられている
なぜなら、グルコースと脂質を代謝して結果として生じたエネルギーをUCP1により熱として四散させる能力を持つためである


今回我々は、β-アドレナリン作動性シグナル伝達が白色脂肪の貯蔵所でベージュ脂肪細胞ならびに熱発生遺伝子thermogenic geneの発現を誘導する能力を、ラパマイシンが阻害することを報告する
ラパマイシンは、β3-アドレナリン作動性受容体に対する転写的ネガティブフィードバックを高める

しかしながら、細胞透過性のcAMPアナログを使ってこの受容体をバイパスしても、熱発生遺伝子の発現は損なわれたままだった
このことはアドレナリン作動性受容体とは別の二つ目の阻害メカニズムが存在することを明らかにする

それらに応じて、ラパマイシンを投与したマウスは寒冷不耐性であり、4℃にすると体温と体重の維持に失敗する

mTORC1サブユニットのRaporを脂肪細胞特異的に欠損させると、β-アドレナリン作動性シグナル伝達の阻害による結果を再現した

我々の研究結果はベージュ脂肪細胞のリクルートにおけるmTORC1のポジティブな役割を実証し、
ラパマイシンによるβ-アドレナリン作動性シグナル伝達の阻害がその生理的影響の一因である可能性を示唆するものである



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http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/8f35e64b9ac20c72c7b2960e8a0d78a9
寒冷は腸内微生物を変化させて脂肪細胞のベージュ化を引き起こす



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https://www.sciencedaily.com/releases/2014/11/141110110104.htm
寒冷→[褐色脂肪細胞]交感神経β3-アドレナリン作動性受容体→2つの経路→

 1→cAMP→GLUT1転写↑→GLUT1によるグルコース取り込み↑↑
 2→mTORC2→GLUT1トランスロケーション↑→GLUT1によるグルコース取り込み↑↑

※2は PI3K-Akt経路には依存しない

http://dx.doi.org/10.1083/jcb.201403080
Glucose uptake in brown fat cells is dependent on mTOR complex 2–promoted GLUT1 translocation.


<コメント>
mTORC1はインスリン/IGF-1等の下流

 

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