自然分娩は免疫系を強くするかもしれない
自然分娩によって生まれる新生児は、母親からの多くの細菌にさらされる。
それにより新生児の免疫系は、自分の無害な分子と異質な有害な分子を区別することを学ぶ(衛生仮説)。
マウスの実験によれば、帝王切開によって生まれた子は、自分自身の分子や食事からの分子、そして無害な腸内細菌に対して反応しやすい免疫細胞が生じることを防ぐために重要な、特定のタイプの免疫細胞の数が少なかった。
研究者は1型糖尿病になりやすいNODマウスの帝王切開の子で糖尿病の徴候を探したが、それはまったく見られなかった。
次のステップは、帝王切開の子が他の自己免疫疾患を発症しやすいかどうかを研究することである。
学術誌参照:
1.分娩様式は消化管のコロニー形成のパターンを形づくり、マウスで制御性免疫を調整する。
The Journal of Immunology、2014;
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140710081440.htm
<コメント>
帝王切開のマウスは自然分娩とは腸内細菌の構成が異なっていて、FoxP3+制御性T細胞や寛容を誘導するCD103+樹状細胞が減少し、腸間膜リンパ節と脾臓のIL-10発現が低下していたという研究です。
Abstractによれば、バクテロイデス属(Bacteroides)とラクノスピラ科(Lachnospiraceae)が増加し、リケネラ科(Rikenellaceae)とルミノコッカス属が減少していたとあります。
今回はマウスの研究なのでヒトには直接は当てはまりませんが、1型糖尿病の子供でもバクテロイデス門が増加していたという記事が以前にもありました。
http://blog.goo.ne.jp/news-t/e/9511d3372d8ee41a0fbeb937fbf108e4
>研究者は3歳未満の小児で、バシラス綱(Class Bacilli)の特に連鎖球菌と、バクテロイデス門(phylum Bacteroidetes)を合わせた量(combined abundance)は糖尿病の小児でより高かったが、健常な対照者では重要な(そして通常有益な)細菌のクロストリジウム属クラスターIVとXIVaの量が多かったことを発見した。
現在の日本では5人に1人が帝王切開だそうです。