日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

派遣のひと

2008-05-15 07:29:38 | Weblog
同じグループの派遣のひとが、昨日も会社を休みました。

これで半年で二週間くらい休んだことになります。

「派遣の仕事しかできないから派遣なんで、一所懸命教えるだけ無駄」といっていた上司の考えの方が的中してしまうと、僕は期待していただけに脱力感で一杯です。

西部邁著『国民の道徳』より

 もちろん、労働をあたかもモノのように扱うという可能性も人間にはある。具体例でいうと、コンビニエンスストアで一日八時間の深夜労働をするとき、それは自分を流通システムの単なる部品と化すことなのであろう。そういうフリーターたちは、自分がかかわる集団の場にたいして積極的な関心はほとんど何も持たないに違いない。だがこれは、人間の欲望充実という点からいえば、かなり問題のある生きかたである。八時間といえば、睡眠時間などを除けば、一日の半分である。その半分もの時間を過ごす場について、何の安全も帰属心も自己実現感も持てないというのは、いかにも歪んだ生活である。
 我が国で、今、一五〇万人を超えるフリーターがいるといわれている。万やむをえず時間契約で勤労しているものもいるのであろうが、半分以上は、人生設計上のいわゆるモラトリアム期間として、フリーター生活をしているようである。モラトリアムとして歪んだ生活を選ぶというのはいかにも奇妙である。それは、たぶん、フリーターにおける就職・離職の「自由」が物神のように崇められているせいなのであろう。また、採用するがわに、こうした歪んだモラトリアム人間を利用しようという態度があるが、それは、長期的には、当該の産業の在り方を不安定なものにせざるにはいないであろう。なぜなら、それは産業の組織をひよわなものにするに決まっているからである。(P-555~556)

(引用終わり)

今から8年前に書かれた本です。現在はフリーターよりも、間接雇用の派遣で働く人が多くなりましたが、正社員から派遣に落とされた人も数知れずです。

「何の帰属心も自己実現も持てないというのは、いかにも歪んだ生活である」というのは、かなり当たっていたと思われます。

色々な派遣の人と出会って聞いてきた生活の特徴は、パチンコなどギャンブルに金を使う人が多いこと。金も無いのに友人と飲み歩くこと。サラ金から金を借りている人が多いこと。年金の掛け金を払っていない人が多いこと。支持待ち人間が多く、向上心が無いこと。職場の人間とよくトラブルになること。頻繁に会社を休むこと。

などですが、人生設計上やってはいけないことを全てやってしまっています。はやり帰属心も自己実現も充足されないということは、人の心を歪めてしまう傾向があると思われます。

こういう歪んだモラトリアム人間を、企業が積極的に採用し、国もそれをサポートする形で、労働法の規制緩和を次々行ってきました。

もう彼らに教えるのも疲れましたし、なるようになれです(笑)

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