日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

モラルハザード

2009-02-12 15:35:03 | Weblog
先週の「出社が楽しい経済学」のテーマは、モラルハザードでした。

http://www.nhk.or.jp/shussya/word/index.html
 →経済学では、「モラルハザード」を、道徳や倫理感の欠如ではなく、他人の行動を観察することができないことから起きる問題と考える。
例えば、ある経営者が部下に仕事を依頼した時。その経営者が従業員の仕事ぶりをつぶさに観察できず、しかもその仕事の成果も客観的に評価するのが難しい場合、従業員は「努力せず最低限の給料をもらっていた方が合理的」と判断。サボるかもしれない。
ではここで、郷田先輩が提案するいわゆる「成果主義」の給与システムが全ての問題を解決するかというと、それもまた微妙。「成果の大小」は必ずしも「努力」と一致しないからだ。にもかかわらず成果だけを見て相手を評価しようとすると、他人の努力の成果を自分の努力だとアピールするズルイ社員が得をして、一方の真面目な社員は嫌になって会社を辞めていくかもしれない・・・。モラルハザードとはこれほどまでに解決が難しい問題なのだ。

(引用終わり)

今週も、窓際族だが経済学の達人の居相田司郎係長(通称いそうろう係長)が、「完全歩合制にすれば、人はやる気を出して、サボることなく働いてくれる~!!?? な、な、ナンセンスっ!!」と叫ぶところから始まるのですが(笑)

番組にあるように、アンケート調査を歩合制にしてしまえば、バイト君たちが、自分たちでアンケート用紙に書き込んでしまって、枚数だけが増えて使い物にならない結果になってしまうのでしょう。

モラルハザードは人間の不正が見えにくく、監視を続けるだけのコストもかけられないことから始まるのですが、ミートホープや船場吉兆や石屋製菓の事件のように、企業が生き残りをかけた選択のところで経営者自らが、不正をやらせてしまうケースもあるようです。

彼らのように摘発されなくても、スーパーマーケットなどでは中国産のネギやアメリカ産の牛肉のラベルを貼り替えて売っていたり、賞味期限切れの生鮮食品は総菜に回されて売られていたりもするのですが、企業倫理だけを問われて、そのような手段に出ざるを得なくなった社会的背景もあるだろうということを、皆さん分かっていながら言わないというのも天津・木村のギャグじゃないけど、あると思います(笑)

企業倫理の継続は、現在ように成果主義を安易に導入すれば壊れやすくなるだけというのにもそろそろ気が付かなくてはならないでしょう。成果主義の導入は、モラルハザードの他に、職場で互いに仕事を教えなくなったり、失敗を他人に押しつけて手柄だけは横取りしたり、能力の低い人を差別して見るようになったり、単年度で赤字になっただけで大量首切りを行ったり、狡い人間だけが残れるギスギスした住みづらい世の中にしてしまう傾向が多いでしょう。

結論として、以前の日本のレベルに合わせて高品質の製品を維持しようとするなら、熟練した正社員を雇う高コストや、クレーム対応のコストだけで会社が潰れてしまいますし、反対に、無理して会社を残そうとするならモラルハザードが原因で企業は社会的に潰れてしまいますし、どちらにしても生き残りの道は狭くなっています。

「衣食足りて礼節を知る」の言葉通り、まずは企業にとっても、モラルが守れるような経済基盤が必要ということでしょう。

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