電力不足 財界『海外移転』いうが 赤旗日刊紙 2011年7月27日(水)
大企業、財界は電力不足が続くと工場を海外に移さざるをえなくなると、またもや『空洞化』の大合唱です。
しかし、アジア途上国の電力不足は日本以上に深刻です。
アジア 日本より深刻
「ごもっとも」
「それほど簡単に海外に移転できるのか。工場を移転するにしても、人員の確保にも、ある程度の時間がかかるし、受け入れ国の電力供給が確保できるかという懸念もあると思うが」
20日、経済同友会・長谷川閑史代表幹事の定例記者会見で記者からこんな質問が出ました。
長谷川氏の答えは「ご指摘の点はごもっとも」「そう簡単に海外移転ができるわけではない」と認めました。急速な経済成長が続くアジアの途上国では深刻な電力不足が慢性化しています。
第一生命経済研究所が2日に発表した『定例経済指標リポート』は中国について、「電力不足の深刻化により、一部地域で輪番停電が実施されるなど生産への下押し圧力が高まっている。と分析しました。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、中国で最も多くの外国企業が集まる生産集積地、広東省など華南地域に電力を供給する南方電綱が2011年と12年は例年にない電力不足に陥ると予想していると伝えています。
ジェトロが昨年10月に発表した『2010年度在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査』は各国の電力事情について次のように述べています。
リスクだらけ
「インドネシア、フィリピン、スリランカ、ベトナム等では需給がタイトであり、短期的、局所的に価格高騰のリスクがある。現にフィリピンやインドネシアでは送電制約から、地域により既に供給不安が顕著化している」
また、アジア開発途上国の場合、設備の故障や劣化などのため、「発電設備でも設備定格出力まで出力が出せないケースが多い」と報告しています。
東電が冷酷通告 被害農家に『送電停止』
被害者に何をする気か 赤旗日刊紙 7月27日(水)
群馬・キノコ栽培 風評で収入減、滞納
東電は農家に被害を与えた自覚があるのか
農水省に農民連「つなぎ融資を」
農民連によると、キノコ農家は群馬県前橋市で施設栽培をしています。原発事故後、取引先から入荷を断られ、700万円以上の被害を受けました。キノコ施設を維持する電気料金も払えなくなり3ヵ月分、約75万円を滞納しました。
これに対して、東電前橋支社は、「払わないと送電を停止する」との通告書を農家に持ってきました。
キノコ農家から相談を受けた群馬県農民連の会員が農家とともに抗議すると、東電側は「被害補償と料金滞納は別問題」として、救済措置を拒否してします。
農水省の担当者に実情を訴えた農民連の笹渡義夫事務局長、吉川利明事務局次長は、「東電は農家に被害を与えた自覚があるのか。ほかにも融資を断られた例もある。国の融資制度も内容がともなうようにしてほしい」と要請しました。農水省の担当者は事情を調査するとのべました。
農家と農民連は、なんとか工面した約半月分の電気料金を納入し、送電停止を猶予させるとともに、風評被害農家も対象にした国の緊急融資制度を活用するために動きました。しかし東電への損害賠償請求書類などの複雑さがあり融資のめどはたっていません。
猶予が当然
群馬農民連の目黒奈美子事務局長の話
東電は「滞納だ」というが、農家に被害を与えたのは東電自身ではないか。電気を止めるなどというのは、とんでもありません。支払いを猶予して当たり前の話でしょう。東電は損害賠償を支払い、滞納分を相殺するのが筋です。電気を止めたら実力行使も辞さない、と東電に伝えてあります。