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<ディオバン>高血圧薬不正の背景 安い降圧剤を無視  国民に負担・大もうけ野放し

2013-09-13 | メディア権力汚染(マスゴミ)と赤旗
 高血圧薬不正 背景に何が――  安い降圧剤を無視 ・ 大もうけ野放し 


 ノバルティスァーマ社の高血圧治療薬の「ディオバン」に「脳卒中や狭心症を減らす効果がある」とした論文にデータねつ造などの不正が見つかった問題―。この背景に何があるのか、

全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)の理事・薬剤師の東久保隆さんに聞きました。


日本の医療用医薬品の市場規模は年間10兆円といわれます。

問題のディオバンは、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の一つです。
ARBは7成分8銘柄が売られている新薬です。

ARB郡の年間売り上げは、約5000億円。 高血圧剤全体の市場の半分を占めています。

高い薬価で売り急ぐ

といっても来年には、ARBの特許切れが相次ぎ、成分が同じで安価な後発品(ジェネリック)が参入してきます。
先発メーカーにとっては、独占的に高値で売れる今、たくさんもうけておきたい。

そうした先発各社がシェア争いでしのぎを削る中で、ディオバンは「心筋梗塞も、脳梗塞も減るいい薬だ」と、医師臨床研究データをねつ造し、市場の拡大を図ったのです。

安い降圧剤(ACE)を無視 ・ 大もうけ野放し

そもそも、ARBに、5000億円もの医療費をつぎ込んでいいのか疑問です。
高血圧治療薬には、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤もあります。
ジェネリックもあり、ARBより安価です。

欧米では、ARBとACEは同等の降圧効果だとされ、ACEの処方件数が圧倒的に多くなっています。
しかし、日本は高価なARBの方が圧倒的です。

ディオバン 40mg.は、61円40銭、  80mg.は114円80銭  です。

同等の降圧降下が得られる量のACE、「エナラプリル」と薬価で比較すると、
              ↓↓               ↓↓
エナラプリル 5mg.は、10円50銭、  10mg.は 12円30銭  です。


ディオバンの「1000億円市場」を、エナラプリルのジェネリックで置き換えると110億円から170億円程度まで抑えることができます。

仮にACEへすべて置き換えたとすると、5000億円市場が数百億円まで抑えることができるのです。

欧米では、効果が同等で安い医薬品があれば、それを処方するルールが徹底されています。
ところが日本は、ACEの中で先発品とジェネリックがあれば、「ジェネリックにしなさい」と勧めますが、「ARBから、ジェネリックがあるACEに代えなさい」とは、指導しません。

国民負担増

厚労省がジェネリックで医療費を安くしろという一方で、高薬価のARBの広大な市場を放置している。
一番の被害者は、高薬価を負担する患者さん・国民です。
大手製薬企業の大もうけを野放しにしながら、国民に医療費の負担増を求めるのはとんでもない話です。

国内市場を席巻するARB剤 (2011年売り上げ上位)

1位 アリセプト            (アルツハイマー治療薬)
2位 プロブレス (武田薬品工業)     ARB剤 1,288億円
3位 ディオバン (ノバルティスファーマ) ARB剤 1,201億円

4位 リピトール               (高脂血症剤)
5位 モーラス                (鎮痛消炎剤)
6位 オルメテック(第一三共)       ARB剤   876億円
 (企業発表や報道をもとに作成)     

(しんぶん赤旗 日刊紙 2013・9・6(金)より)