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戦争には大量の「貧乏な若者」が必要だからです=安倍政権の弱者いじめ

2013-06-20 | メディア権力汚染(マスゴミ)と赤旗

 戦争には大量の「貧乏な若者」が必要だからです。―― 貧困問題に取り組む作家 雨宮処凛

 安倍政権で、生活保護費の切り下げや、役所の窓口で申請を受け付けないようにする水際作戦の合法化など、弱者いじめがすさまじい。
そして、改憲案全体から感じる国の役に立つ人間であれというメッセージ。競争に勝てない者は、死んでくれと言わんばかりです。



理想引き下げていいの?

コント「憲法くん」を演じて16年 松元ヒロさん


 「私は日本国憲法。みなさんの理想だったじゃないですか。理想をどんどん現実に合わせて引き下げちゃっていいんですか?」―。

 日本国憲法を擬人化したコント「憲法くん」を演じて、もう16年になります。最初は「憲法フェスティバル」で憲法を分かりやすく伝えるために、弁護士さんと考えたものですが、こんなに続けるとは思いませんでした。

 とくに安倍内閣ができてから、「憲法くん」は忙しくなりました。普通のイベントでも、主催者から「『憲法くん』やってください」とリクエストが増えているんですよ。
 
 「憲法くん」のハイライトは、憲法前文の暗唱・朗読です。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないように・・・」などと話していくと、憲法の理想の高さ、崇高さが体現されていく感じがします。劇作家の井上ひさしさんは、コントを観て「感動しました。やはり前文には、良く練られている深い思想を感じました」(『二つの憲法』)と評してくださいました。
 
 井上さんも書いていますが、日本国憲法の高い理想は、一国だけでできるものではない。イギリスのマグナ・カルタ、名誉革命、アメリカ独立宣言、フランス革命と人権宣言・・・すべての世界の英知を集めたものなんです。

 アフリカの一地域を出発したホモ・サピエンスが、なぜ地球上のすべての場所で繁栄できたのでしょうか。人類の歩みを描いた「グレート・ジャーニー」展を観ると、食料を分け合うことができたからと分かります。敵を叩きのめして独り占めするのではなく、みんなで分け与えて、共に生きることができたからです。日本国憲法は、実はこの「共生」の人類的思想を説いているのです

 ですから、憲法前文や9条を変え、米軍と一緒に戦争できる強い国を、という自民党や維新の会は、人類の発展方向に逆行すると思うんです。

 いま、日本共産党以外の主要政党は、基本政策は自民党と同じ。ただ選挙で受かりたいために、党をくるくる変えているだけじゃないですか。「選挙で受かりたい」から共産党に入ったという人はいないでしょう。自分のためではなく、庶民のための政治と立場がはっきりしているのは日本共産党だけですよ。最終的には庶民はそういう信念を持つ人たちに思いを託すと思います。ぼくは「憲法くん」を16年やって、そのことが分かってきました。
聞き手・田中倫夫記者

まつもと・ひろ=コメディアン。1952年鹿児島生まれ。鹿児島実業高校時、全国高校駅伝で区間賞。法政大学政治学科卒。「ザ・ニュースペーパー」の結成に参加。99年にソロ活動開始。6月後半は山口、熊本、岡山、愛知の各地でソロライブを予定。

日本国憲法・前文

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。
 われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
 われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと務めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。
 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して、他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。



私たちの自由を守る根拠

作家 雨宮処凛さん



 自民党の改憲案に出てくる「公益」という言葉に違和感を感じます。
 たとえば、現憲法21条で保障されている集会、結社及び言論、出版の自由は、自民党案では「公益及び公の秩序に反しない限り」という条件が付けられています。

 すぐ頭に浮かんだのは、私も参加していた2008年の「麻生首相のお宅拝見!」ツアー事件です。格差を実感するために、62億円の麻生邸を見ようという企画で、渋谷に非正規の若者ら50人ほどが集まりました。

ところが、歩いている途中に、突然、警官が一行に襲いかかり、3人が逮捕されました。周りの人に肉声で「一緒に行きませんか」と呼びかけるくらいで、小競り合いがおきたわけでもなんでもなかったのに。

 「公益」という言葉は、政府がどうにでも解釈できます。反原発、反TPP、反貧困・・・国民の声を封じ、政府に都合の悪い運動を一網打尽にできる魔法の言葉です。改憲されれば、私たちの「自由」を守る根拠そのものがなくなります。

 安倍首相の96条改憲の最大の狙いは9条を変えて、戦争ができる国にすることです。 私は貧困問題を取材していますが、不安定雇用やブラック企業で働く若者に、憲法25条(生存権)のことを話すと、とても共感してくれます。それから25条も9条につながっていると話します。

 戦争には大量の貧乏な若者が必要だからです。アメリカのイラク戦争では、世界中の仕事のない若者が民間軍事企業に雇用され、戦争を支えました。戦争は究極の貧困ビジネスです。

 安倍政権で、生活保護費の切り下げや、役所の窓口で申請を受け付けないようにする水際作戦の合法化など、弱者いじめがすさまじい。そして、改憲案全体から感じる国の役に立つ人間であれというメッセージ。競争に勝てない者は、死んでくれと言わんばかりです。

 どん詰まりの日本を変えたいと思っている人たちが、改憲に引きずられないよう、危険な中身をしっかりと伝えていかなければと思います。
聞き手・那須絹江記者

あまみや・かりん=1975年、北海道生まれ。愛国パンクバンドのボーカルなどを経て、作家デビュー。若者の行きづらさ、貧困問題に取り組む。『ドキュメント・雨宮☆革命』(創出版)、『14歳からわかる生活保護』(河出書房新社)など著書多数。
 (しんぶん赤旗日曜版2013年6月16日号)

しんぶん赤旗日刊紙 月3.400円 日曜版 月 800円。
お問い合わせは、お近くの日本共産党地区委員会事務所、又は、以下のホームページへ。
日本共産党ホームページ
http://www.jcp.or.jp/
携帯版
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