長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ピートと秘密の友達』

2019-01-28 | 映画レビュー(ひ)

1977年のディズニー映画『ピートとドラゴン』のリメイク。『セインツ 約束の果て』で脚光を浴びたデヴィッド・ロウリーが脚本、監督を務めた。期待された程のヒットには至らず、ロウリーのブレイクにもつながらなかったが彼のフィルモグラフィを語る上で見過ごせない転換点と言えるだろう。北米、大森林の奥地で竜のエリオットと暮らす孤独な少年ピートの物語には、終わろうとしている旧き良き時代への郷愁が込められており、既存のディズニー映画にはない情緒である。とりわけ子役然とした可愛さのないピート役オークス・フェグリーの野性味、そしてロバート・レッドフォードが作風にもたらす“古風”は味わい深い。唯一、ドラゴンの存在を信じる謎の老人レッドフォードには『明日に向かって撃て!』をはじめとするアウトローの姿が投影されており、本作でのコラボレーションを経てレッドフォードの引退作『さらば愛しきアウトロー』に結実した。ロウリーらしいニューシネマリスペクトの仕事っぷりである。

 ロウリーはこの後、気鋭のインデペンデントスタジオA24でオルタナティヴな『ア・ゴースト・ストーリー』を発表。頼もしいキャリア形成である。


『ピートと秘密の友達』16・米
監督 デヴィッド・ロウリー
出演 ブライス・ダラス・ハワード、オークス・フェグリー、ウェス・ベントリー、カール・アーバン、ウーナ・ローレンス、ロバート・レッドフォード

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