長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『マグダラのマリア』

2020-04-17 | 映画レビュー(ま)

 マグダラのマリアの視点からキリストを語り直すという本作も所謂“Me too”映画の一種と言っていいだろう。男性優位の宗教社会において“罪深い女”と位置付けられ、聖人と認められたのは2016年と聞いて驚いた。映画は漁村の貧しい娘がキリストの教えに導かれて家父長社会を抜け出し、その敬虔さから“復活”の目撃者となるまでを描いていく。

演じるルーニー・マーラはその聡明さに打ってつけのキャスティングであり、前作『LION』に続いてガース・デイヴィス監督は彼女のフォトジェニックな美しさを引き出す事に成功している。キリスト役にはホアキン・フェニックスが扮し、苦悶と狂気を湛えた独自の人物造形を見せた。通算3度の共演となる2人が婚約したのは御存知の通り。どこか内気な繊細さが似通っていて、いいカップルだと思う。

 映画はマーラを得てマグダラのマリアを等身大の女性として描いたが、美しい撮影とポエティックなトーンがややワンパターンで、全体的にボヤけてしまった印象は拭えない。


『マグダラのマリア』18・英
監督 ガース・デイヴィス
出演 ルーニー・マーラ、ホアキン・フェニックス、タハール・ラヒム、キウェテル・イジョホー、シラ・ハース

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