リッスン・トゥ・ハー

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その奥から、無数の鶏の鳴き声

2011-01-25 | リッスン・トゥ・ハー
奥から鳴き声が聞こえたって言うとった。そこに鶏はおらんのに。空耳というやつやろか。幻聴やろか。精神的にまいっとるおっちゃんが、たしかに聞いたって奥へ駆けていった。確認するつもりで、駆けたんやけど、そこは入ったらあかん場所で、警察か、県の人か知らんけど、規制する側の人が何人か追いかけていっておっちゃんを止めた。おっさんは振り払ってなお奥へ進もうとする。どうしようもないんです、て止める方は言うとる。おっちゃんは叫んではる、それでもええ、確認さしてくれ、俺に確認だけさしてくれ。もういませんよ、と一番偉い人が言うた。もう、全部処理したんです。処理やて、おっちゃんは言う。

食なんて言葉つこうてほしないわ。せめて殺したいうてくれ。俺は鶏とともに生きてきたんや。処理なんかしてほしない。わたしら殺しました、いうてくれ。そうやないとおさまらん。俺は全然おさまりがつかん。殺したいうてくれたら、それで俺はお前らを殴る。どうなってもええ、とにかく殴らしてくれ。俺の鶏を殺した責任を感じてくれ。西岡さん、耐えてください。ここはぐっと耐えてください。私らとしてもどうしようもなかったんです。拡大すればたいへんなことになります。なんとしてもここで止めなければならないんです、わかってください。お願いします。

おっちゃんは持っとった餌をばらまいたよ。強い風に吹かれて空に舞い上がる餌はすぐになくなった。私が泣いていたのはおっちゃんのまいた餌が目に入ったからやないから。だっておっちゃんはブラウン管の向こうにおるから。


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2 コメント

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Unknown (广州网 020.COM)
2011-01-25 11:27:16
更新頑張って下さいね!
Unknown (なゆら)
2011-01-25 18:25:01
更新頑張ります!

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