リッスン・トゥ・ハー

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否定派、肯定派割れるタトゥー

2010-07-20 | リッスン・トゥ・ハー
そしてタトゥーをもって生まれてくるものが出現した。胎児の状態ですでにタトゥーを持っているのである。一人ではない。生まれてくる胎児のうちの300人に一人の割合でタトゥを持っていた。はじめこそ、気味悪がられていたが、人間は慣れる生き物である。タトゥーを持つ胎児を髪の使いとして崇め立てるようになった。タトゥーの柄は様々で、ドクロだったり、ハート、星、ゆみこラブ、というメッセージ性の強いもの、うんこなどのばかばかしいの、神のいたずらとしかおもえない一貫性のなさだった。タトゥーをはじめから持つものと、生まれた後に刻んだものとの違いは、実際の所何もなかったが、誰も何となくわかっていた。後から刻んだものはタトゥーへの憧れからどうしようもなくなり、刻んだのだが、どうしても後ろめたさが拭えずにびくびくしていた。大きな音に敏感に反応し、暗闇へ逃げ込んだ。タトゥーが話題になると静かになった。にわかタトゥーは増える一方であった。タトゥーを持つものが世界のほとんどをしめた頃、タトゥーを持たないものが逆に珍しくなった。ないもの、として徒党を組んだ。まっしろって気持ちいい、をキャッチフレーズに彼らは次第に勢力を拡大した。といっても、ほとんどがタトゥー族、かなり長く時間をかけてしかし確実に、ないもの、は拡大した。タトゥあり、ないもの、がちょうど半々になる。人々はタトゥーに関する興味を失った。というよりももっと情熱をかけるべきことがあるじゃないかと気付いたのだ。そうである、ピアスだ。ムーブメントを起こし、そのうちピアスを持って生まれてくるものが出現した。

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