リッスン・トゥ・ハー

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朝顔まつり

2010-07-07 | リッスン・トゥ・ハー
朝顔まつりは粛々と執り行われる。厳格なムード。偉い人がたくさんくる。朝顔を見ることがメイン、朝顔を様々な方法で楽しむ。調理したり、飾ったり、掲げたり、投げたり、打ったり、捕球したり。朝顔を存分に味わい、それから朝顔の神様に感謝する。朝顔の神様は特別席に座ってて朝顔まつりの様子を見ている。神様が何かつぶやくと、すぐ横にいる実行委員長が相づちを打つ。神様の機嫌を損ねたら大変だ。朝顔はもろとも枯れてしまう。枯れてしまえば朝顔まつりは台無しだ。だから神様を接待する。おいしい料理が運ばれる。神様の好物はビールに冷や奴、枝豆、最高級のそれらが集められる。コンパニオンもいる。神様は女好きだから、10人用意し、いちばん好みの女の子を神様のそばに座らせ、他2人は後ろを固めて、他の女の子はいざという時のために待機。朝顔まつりは屋外で実施されているが、特別席は冷暖房完備。万全の体制を整えて神様を迎えている。神様はまんざらでもない。この日だけは最上の気分を味わえる。この日のためにわしは朝顔の神様をやっているのだと言っても過言ではない。普段は、公園で寝泊まりをしてて、食うことにも苦労しているが、一年の打ちこの日だけはみんながちやほやしてくれる。とてもうれしい。朝顔を枯らす能力なんて、何の役にも立たないと思っていたけれど、この日のためにあるのか、とほくそ笑む。今日だけ、明日以降はきっとここにいる奴らの一人として町ですれ違っても見向きもしない、どころか顔を背けるに違いない。今日だけは思いのまま、コンパニオンを抱こうと思えば抱ける。どれひとつ、とつばを飲む。まつりがおわりにさしかかり、実行委員長が何か言いたげな表情をしていたので、神様は、いいよ君遠慮なく何でも言いたまえ、と聞いてみる。言いにくそうな実行委員長。やがて、実は朝顔まつり市の予算削減の結果今年度限りで廃止されることになりました。神様の絶叫。


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