リッスン・トゥ・ハー

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仏像、腹の中にて笑む

2008-08-11 | リッスン・トゥ・ハー
身ごもった。ぶつぞうは子を授かったのだ。そのぶつぞう、男ではなかったのか、という疑問は問題ではない、ぶつぞうは雌雄同体である。オスでありメスであるその体は普段はオスの部分が強く現れているものの、特性として、子をみごもってもなんら不思議はないのである、がしかし。実際に身ごもってしまったものはいまだかつてない。雌雄同体であるにもかかわらずぶつぞうが妊娠するためには、2体の性交が必要である、性交なくして妊娠はありえない。それは学術的に証明されている。つまり、誰か別のぶつぞうがこのぶつぞうに夜這いをかけて、そして、受精させたのである。これを哀れと見るか、見事と見るか人それぞれだろうが、ここはあえて、見事と見ることにする。ぶつぞうかて、孤独に打ちひしがれて待っているわけではない。坊主は常にではないが、頻繁にぶつぞうの前に来ては拝むし、客がくることも多い。ここは有名な寺、ぶつぞうも全国レベルの人気ぶつぞうとくれば、いつのまに、という話になる。多くの人の目を盗んで2体は結ばれたのね。もしくは無理矢理犯されたのだ。結ばれたと考えた方が体裁が良い。体裁の為に死ねるぶつぞうのことだから、そう考えておくに越した事はない。愛し合い、つむぎだされた愛の結晶、子は「ネオぶつぞう」という名前がつけられ、動物を大切にしてくれそうな旭山動物園に贈られることが決まった。