リッスン・トゥ・ハー

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堤防には夢が詰まっている

2006-11-03 | リッスン・トゥ・ハー
っつは、ありえん。とナナミさんは言いました。僕はアスファルトの上に正座して、ナナミさんを見上げます。チビ、とクラスのみんなに言われる。小学校を卒業する頃だろうか、女子の背がぐんと伸びて、僕はクラスで一番背が低くなってしまった。そのまま中学に上がり、そのうち伸びるに違いない、と固く信じていたのに伸び悩んでいる。ナナミさんとは幼馴染だけど、いつの間にかさん付けで呼ぶようになった。なんというか、威圧されるのだ。でも、僕はナナミさんが好きだったし、それは幼い頃は感じなかったとても切ない感情で、だから僕は思春期に入ったんだと、思ったわけで、そろそろきっと背の伸びるし、どう、ナナミさん、僕と映画に行きませんか、と思い切って言ってみた堤防で。