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議長の権限-番外編

今から約2年前、平成27年の憲法記念日に「日本国憲法における三権分立」という記事を書きました。

立法権、行政権、司法権を司る三権の長のうち、立法権の長である衆議院議長・参議院議長は、対外的に立法権たる議院を代表する等、強い権限を有しています。

だからこそ、議長及び副議長を誰にするかの議院の選択は、議院の対外的な活動、議員の権利義務の行使等にも大きな影響を及ぼすことになり、非常に重要なのです。

今回は番外編からのスタートですが、議長の権限を紹介するため、今後、不定期に「議長の権限」シリーズを書いてみたいと思います。

まず番外編として、最近の新聞記事をひとつ紹介します。

平成29年5月6日 読売新聞
『緩む「散会宣言」』

4月14日の参議院本会議。終わりかけに「事件」は起きた。

「だから、いいっちゅうの、そんなもの!これにて散会いたします」
            
              平成29年4月14日参院本会議 参議院Webページよりキャプチャ
                 
議長は本来、席に座ったまま散会を宣言するのが慣例だが、立ち上がろうとした伊達議長を隣席の郷原悟事務総長が止めようとしたところ、伊達氏はこう怒って振り払った。
            
そして、立ったまま宣言は行われた。
            
              平成29年4月14日参院本会議 参議院Webページよりキャプチャ

伊達氏は2月の本会議でも、政府に新幹線網の拡充を求めた自民党議員の質問直後、自身の地元の「北海道新幹線が(質問に)入っていない!」と議長席から不規則発言をし、与野党の批判を受けたばかりだ。

大きな混乱はなく、議事録にも残らなかったが、伊達氏の出身の自民党内では「三権の長の職責の重さが分かっていない」といらだちが募っている。

今村雅弘前復興相の「東北で良かった」発言をはじめ、政府や自民党で失言や不祥事が相次ぐ。

議長自らがルールを揺るがす議事運営に出ることは、「1強の緩み」が国会にも及んでいると指摘されかねない。

1947年5月、初代参院議長に就いた松平恒雄氏のあいさつは、抑制的ながらも気概あふれるものだった。

「新憲法の精神を遵奉し、かつ公正無私、議長の重責を果たしたい」

参院は今年、日本国憲法とともに創設70周年を迎える。

国権の最高機関の秩序保持を担う議長の重みが今一度、問い直されている。

ちなみに、参議院では、議長は第一会派から、副議長は第二会派から推薦された議員について選挙しています。
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