公務員試験知能、教員採用試験数学解説

ある予備校講師が暇な時間に綴る小さなブログ

中学入試に学ぶ 3

2022-10-10 09:09:00 | 中学入試
中学入試の図形の問題は、公務員試験で、数的推理や空間把握として、ほとんど同じような問題が出題されます。             むしろ、逆に、公務員試験の知能の問題を中学入試で出題しているのかもしれません。                         その方が、知能指数が高い子供を集めることができる?                     さて、今回は初級〜中級向けの問題です。                        下の図のように、半径12cmの半円を2つの部分に分けました。                斜線部分の面積は何cm²ですか。           ただし、円周率は3.14とします。
まあ、自分が小学生だったとしたら、間違いなくこうしたと思います。
しかし、これは間違い。㋐は、扇形ではありません。
とすると、㋐は、分割してみようかと考えます。(自分の勝手な考えだけど)         それでは解いていこうと思うのですが、まず、大人の場合。
扇形OCBの面積から三角形COBの面積を引けば斜線部の面積は分かりますが、三角形COBの面積が出ません。(実は、1/2×12×12×sin150°で出るのですが、ここは中学の数学までしか使わないとして)                              三角形COBの底辺は12cmで、高さを知りたいので、Cから直線ABに対して垂線を下ろします。                      すると、たまたま∠COAが30°ですから、高さは6cmと判明します。
よって、こういうことになります。正解は、152.4㎝²です。
小学生もほぼ同じ解き方です。             中学入試をする子は、三角定規の各辺の比率について、以下のことは知っています。(塾で習う)
また、円周率を含む計算で、いちいち3.14を掛けていてはしんどいので、例えば、13×3.14−7×3.14などは、πを使い、13π−7π=6π=6×3.14=18.84とするトレーニングを塾でやります。                だから、大人とほぼ同じことになっちゃうんですね~。                    こんな感じ。
自分のようなおじさんにはできませんが、子供は大変暗記が得意なので、2π=6.28、3π=9.42、4π=12.56、…………と、9π=28.26くらいまで暗記しておいて、本問などは、6π=18.84だから、60π=188.4。                     そこから36を引いて152.4だ、などと、暗算で答えを出したりするので、おじさんはそんな子供と対戦すると、必ず負けます。














中学入試に学ぶ 2

2022-09-18 08:29:00 | 中学入試
今回は、旅人算です。               初級〜中級対象でしょうか。           問題。                           海子さんは家から学校まで毎時3kmの速さで歩いていきました。                海子さんが出てから12分後にお母さんは忘れ物を届けに自転車に乗って毎時13kmの速さで追いかけたところ、学校までの道のりの5分の3の地点で海子さんに追いつきました。                     海子さんの家から学校までの道のりは□kmです。                       まずは、大人の考え方で解いてみます。             12分=12/60=1/5時間だから、海子さんが出発してから12分で進む距離は、3×1/5=3/5km。                       お母さんが出発してからt時間後に海子さんに追いつくとして、方程式を作ります。
よって、家から39/50km地点でお母さんは海子さんに追いつきます。
家から学校までの距離をx(km)とすると、題意より、3/5×x=39/50。               これを解いて、x=1.3。                正解は、1.3です。                  何か分数が多いですね。                  これを小学生はどう解くか?              「速さの比」に注目します。                海子さんの速さ:お母さんの速さ=3:13であり、お母さんが出発してから海子さんに追いつくまでは、二人は同じ時間進んでいます。
同じ時間進んだのだから、その距離は、速さの比と同じく3:13。(速ければ速いほどたくさん進みます)よって、
海子さんが12分で進んだ距離は、⑬−③=⑩ですね。
少し寄り道をします。                    我々が普通に歩いているときの速さは、約4㎞/時。                        早足で歩くと、約6㎞/時です。               この6㎞/時は、ちょうど100m/分。           つまり、100mをちょうど1分で進もうと思えば、早足で歩けばよいのです。            これは、速さの問題を解くときに便利なので、是非覚えて下さい。                 海子さんは、おそらく小学3年生くらいでしょう。                          6㎞/時の半分の速さで歩いているので、50m/分です。                        この速さで12分進むと、50×12=600m進んでいます。                     よって、
この780mが、学校までの道のりの3/5ですから、
大人の場合は、⑬や③は、13k、3kなどと文字を使って、方程式をたてたりすればよいかと思います。
























中学入試に学ぶ 1

2022-09-04 11:41:00 | 中学入試
公務員試験と中学入試は似ています。              大人が必死に解いているのを嘲笑うが如く、ほんの数十秒で正解を導き出す子供がいます。                     その考え方やテクニックは、とても参考になりますので、紹介していきます。         第1回は、神戸女学院中学の過去問です。                 これは大卒国家総合職、国家一般職向けです。                          針の進む速さの異なる3つの時計A、B、Cがあります。                    この3つの時計を同時に午前8時に合わせて動かし始めました。                   時計Aが午前8時38分を指してから、時計Cが午前8時38分を指すまでの間に時計Bでは1分15秒経過していました。          また、時計Aが午後3時36分ちょうどを指したとき、時計Cは午後3時20分ちょうどを指していました。                 各時計の針の進む速さは一定とします。     (1)時計BとCの針の進む速さの比をもっとも簡単な整数の比で表しなさい。              (2)時計Aが午後3時36分ちょうどを指したとき、時計Bが指している時刻を求めなさい。                         まあ、こういうことですねえ。
Aが8:00〜15:36まで、7時間36分進んだ間に、Cは8:00〜15:20まで、7時間20分進んでいますね。                   だから?                          この「だから?」に対して、たくさん語ることができる人ほど、上級者です。             知能は、一つの出来事を、どれだけ多面的に解析できるかが鍵なのです。               この場合は、例えば、                  Aの進む速さ:Cの進む速さ=456分:440分             だから、これを簡単な比にして、つまり57:55だということがいえます。                       この種の問題を解くときによくこの比を使います。                        ただし、その方向で考えていけば、かなりややこしい計算をしなければなりません。(実際にやってみて下さい)              そこで、もっと違う角度から。             何かありますか?                       本気で勉強している人は、3分間考えて見てください。                     こんなのはどうでしょうか?                  Aが456分進むと、Cはそれより16分遅れる。                           とすると、Aが8:00〜8:38まで38分進むと、Cは何分遅れるか?
4/3分=1分20秒だから、Aが8:38のとき、Cはそれより1分20秒遅れ、8時36分40秒です。                      実はこの8時36分40秒は考えなくてもOK。                         なぜなら、(1)では、BとCの針の進む速さを求めるだけだからです。
(1)の正解は、15:16です。              (2)は、少し視点を変えるといいでしょう。                         Aが午後3時36分ちょうどを指したとき、Bが指している時刻を求めなさいと言われましたが、これなら今度はAの進む速さとBの進む速さの比を求めにいかなければなりません。                       しかし、上の図を見れば分かるように、この問いは、Cが午後15時20分ちょうどを指したとき、Bが指している時刻を求めなさいと同じ意味ですね。(こんなの小学生にやらせるな!)                 それなら(1)の結果が使えます。             (1)より、Bが進む速さは、Cが進む速さの15/16であることが分かります。(分からなければ、別の手があるので後述)                          Cが8:00〜15:20まで440分進むと、Bは、その15/16、412.5分進みます。             つまり、14時52分30秒、正解は、午後2時52分30秒です。
さて、15/16がちょっと分からない場合は、比の式を使いましょう。こんな感じですね。