読書感想日記

最近読んだ本の感想

『乃木希典の世界』 桑原 嶽、菅原 一彪 編 新人物往来社

2009-01-01 16:46:52 | 歴史物
 以前から、乃木希典という人について知りたいと思っていました。
 一カ所の戦地で多大な部下の生命を犠牲にした人物というイメージが強く、神として全国で何カ所もの神社に祀られている人物とつながらなかったのです。
 その生涯を記した本を読むつもりで、題名でこの本を選んだら、立派な肩書きの著名な方々による評論集のような内容だったので、内容を確かめなかった自分のことをすっかり棚に上げて、少々がっかりしつつ読みはじめました。
 しかし、それぞれの文は、短編集のように簡潔にまとめてあり、またそれぞれの視点が異なるので、とても興味深く読ませていただき、乃木希典という人は、戦略・戦術に優れた軍人としてよりも、優れた人格者として現代でも最も尊敬されるべき人物の1人であり、いつか、乃木神社へお参りに行ってみたい、と思うようになり、また同時に、当初この本に軽く失望した自分を罰当たりだと反省しました。
 そして更に、名越二荒之助さんが書かれた「乃木希典の世界」という文を読ませていただいたことで、この本に出会えたことに感謝したいと思いました。日頃から私が疑問に思っていること、日本人が日本を大切に思わなくなった理由が、明確に述べてあったのです。
 確かに、人間が人間を評価することは、とても難しいことだと思いますが、自分の国の選手が全力を出して良い成績を出しているのに、過小評価ばかりするようなコメントを流す報道を堂々と流している国は、日本くらいでしょう。また、観客の方の声援で一目瞭然であると感じましたが、大きな壁を乗り越えて努力している人の迫力ある演技について、なぜ評価が低いのでしょうか。
 なぜ、努力することや、国を誇る気持ちを蔑んでしまうのでしょう。
 経済的だけでなく、真に日本を世界に誇れる国に変えてくれる人が現れることを祈るばかりです。

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