読書感想日記

最近読んだ本の感想

『安徳天皇漂海記』 宇月原 晴明 著 中央公論新社

2009-02-21 20:51:25 | 歴史物
 とても、面白く読ませて頂きました。
 私でさえ知っている歴史に残るさまざまな出来事が、つながっていたというのです…
 何事にも二面性があり、私たちが知っているのは、表の世界。
 しかし、真実は、知る人ぞ知る裏の世界にこそ隠されているのです。
 そこには、幼くして神と崇められた人が残した怨念、計り知れない力を秘めた神器、怨念を鎮めようとひたすら身を捧げる人…
 そしてこれらのことが、世界へも影響を及ぼしている…
 きっと、人間の知っている知識や歴史というものは、ほんの僅かなものでしかなく、真実は、永遠に誰も知ることはできないのでしょう。
 そう、この世には、人間の想像を遙かに超える大きくて不思議な力があることも…
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『決断 命のビザ』 杉原幸子 監修 渡辺勝正 編著 大正出版株式会

2009-02-12 13:54:09 | 歴史物
 私だったら、上司、いや国の命令に背いてまでも、他人の命を救う行動をとれるだろうか。
 敵国を恐れさせるほど優秀であるうえに努力家で、しかも家族思い。
どんな相手でも、例えそれが国家だろうと、対等にわたりあう信念のある人。
これほどの人物なのに、つい最近まで全く評価しないばかりか、その存在自体を埋もれさせてしまい、逆に、外国から賞賛されて、ようやく脚光をあびる…
 日本の残念な風潮は、いつの時代も変わりませんね…
 ただ、当時の政府が、密かに人道的な措置を講じていたことを知り、いろいろな思惑があったにせよ、やはり日本はいい国だな、と安心しました。
 この本は、伝記物でありがちな、生い立ちから最期まで、著者が調べあげたことを詳細に記したものではなく、簡潔だが、しかし要点を押さえた文章で書いてあるので、とても読みやすかった。
特に、世界情勢を織り込みつつ、当時の日本の立場、そして杉原さんの行動をわかりやすく述べているばかりでなく、当時の切手から世界の動きを読み取るという、とても興味深い視点、そして的確な洞察力から、この本は、杉原さんを讃えることにとどまらず、第二次世界大戦についての入門書にふさわしいのではないか、と思います。
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