読書感想日記

最近読んだ本の感想

『高熱隧道』 吉田 昭 著 新潮文庫

2008-04-01 00:41:59 | 歴史物
 隧道をつくることに人生をかける様々な男たち。
 大自然は、その男たちに幾度も難題を突然にぶつけてくる。
 貴い犠牲を払う度に、主人公たちは罪の意識にさいなまれ、人間の無力さを思い知らされるが、経験を積むというのか、慣れというのか、次第に感情を表せない、いや感情を持たない人間になってしまう。
 それは、人生をかけた大きな目標に向かって、ただひたすら走るためか、それとも罪の意識から逃れるために、忘れようとしているのか…
 しかし、彼らにとって最大の敵は、同じ人間であった。
 そう、人間は、自然の脅威をはるかに超える戦争というものを引き起こしていたのだ。
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『ほうかご探偵隊』 倉知 淳 著 講談社

2008-04-01 00:34:51 | 推理物
 少年少女の皆さんにお薦めなミステリー本であることはもちろんですが、できれば、いつまでも少年少女のころの心を持ち続ける大きな人に、いや、その心をいつの間にかどこかに忘れてきてしまった大きな人に読んでいただきたい本です。
 登場する人々、広がる光景は、私が子どものころの懐かしい仲間たちの姿やその当時の光景と重なり、まさに私は、わくわくしながら一緒になって謎解きに加えてもらいました。
 ああ、私にも、純粋に一つのことに熱中できる年頃があったな、と。
 そして、怪人二十面相を読み、中でも青銅の魔人のような敵が出てくる話しが好きだった子どもの頃の私が、私の中によみがえりました。
 話しは、ほのぼのとした雰囲気の中でテンポよく進み、謎は解き明かされていきますが、残りのページが少なくなるにつれて、切なくなってしまいました。
それは、この仲間たちとの別れを意味するからです。
いつまでも、彼らと一緒に過ごしていたかった…
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