「本を守ろうとする猫の話」夏川草介 著 小学館文庫

　人は…いや私は、なぜ本を探し、読むのだろう。
　そんな素朴な質問を問われたら、私は何と答えるのだろう。
　問うてくる者たちの考えにも、納得できてしまう自分がいました。
　皆さんは、どうですか。
　青春ものでもあるこの作品は、とても読みやすく、そして考えさせられる素晴らしい作品です。
　

「最後の証人」柚月裕子 著 宝島社

　人間は、親しい間柄でも、なかなか内面の姿を見せないもの。
　いや、他人には見せられないものを一つや二つ抱えて生きている。
　なかでも、人生を変えてしまうほどのものは、墓場まで黙って持ち込もうとするでしょう。
　ましてや、法廷という名の人生を決定される場所では…
　
　人間の持つ、あらゆる感情が胸の内を駆け巡り、次々とページをめくっていました。

「スモールワールズ」一穂ミチ 著 講談社

　一つ一つのお話しに、吸い込まれました。
　魔王の帰還、秀逸です。
　強面の姉と弟、そして弟の同級生が織りなす世界に、笑って泣きました。
　ピクニックは、息が詰まるほど苦しく、しかし、一条の光が見えました。
　愛を適量では、自分と家族との関係をまざまざと思い出していました。
　多くの人に読んでいただきたい、素晴らしい作品です。