読書感想日記

最近読んだ本の感想

「アウシュビッツの図書係」アントニオ・G.イトゥルベ/著 小原京子/訳 集英社

2017-12-25 20:24:40 | 小説
 生物学的には同じ人間である。
 しかし、出自が違うだけで、生き方そのものが全く異なってしまう…
 
 特定の人々をこの世界から抹殺せん…と、手段を選ばない輩どもの生き方…
 片や、その日一日を生き抜くことが唯一の目的となってしまった人生…

 何を信じて善いのかわからない世界で、生き抜こうとする人々が尊厳を守るために、文化や教育が、そして「本」が何よりも大きな宝物であった。
 
 幼い主人公が、周囲の人々が、まさに「生き抜こう」とする姿に、「生きる」ことを教えていただきました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ちょっと今から仕事やめてくる」北川 恵海 著 メディアワークス文庫

2017-12-17 16:58:35 | 小説
 泣きました。

 私の場合も、数年ぶりに電話を掛けてきた息子の心は、両親にはお見通しでした。

 働くということ…生きるということ…

 何度もはっとさせられて、そして清々しい風が私の心を駆け抜けていきました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「教団X」中村 文則 著 集英社

2017-12-02 19:29:40 | 小説
 読み返す度に、絡み合った糸が新たに見えてきます。
 何が正しくて、何が正しくないのか…
 それは、立場によって、見方によって全く異なるのだ。
 長編であるのに無駄がないうえに、スピード感は落ちない。
 とても読み応えのある作品でした。

 中でも、登場人物の言葉に、私の身も心も固まってしまいました。
    「たとえばスポーツ競技で神に祈るプレイヤー達。
     飢えて死ぬ子供達を無視し続ける神が、選手の成否に関心を持つはずがない。
     どのような罪もない子供が自然災害や病で死ぬ時も見捨てる神に、私を糾弾す
    る権利はない。」
 懸命に、今日を生き抜く…命を賭けて大切な家族を守る…地球上には、そうした生き方を強いられている人々がいることを忘れずに、私たちは平和な日々を過ごせることを感謝し、この日々が将来も続くように努力しなければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする