読書感想日記

最近読んだ本の感想

戦士の遺書 半藤一利 著 文藝春秋

2014-04-10 23:50:48 | 歴史物
幹部が幹部足るべき条件、それは只一つ。自ら率いる組織における責任をとること。
軍人の道、ましてや上級幹部となった以上は、いざ戦となれば、多くの部下を率いて作戦の成功を期すべく、全身全霊をかけて戦わなくてはならない。
ここに登場する幹部は、ごく一部の者を除き、人格、能力ともに優れた人々であり、必ずしも開戦論者ではない人もいた。しかし、いざ開戦した以上は、皆敗戦濃厚となり、生還の見込みのない第一線にて最後まで部下を指揮し、鼓舞し、そして結末の責任について、一身に背負って散っていったのだ。

一方で、STAP細胞の問題は、日本の組織やマスコミが、開戦から敗戦までの流れにそっくり、いや未だにその当時のままであることに愕然とさせられた。
華々しい初陣の勝利、マスコミかこぞって持ち上げ、いざ敗戦が見えてくるとその犯人探しを始め、戦果を誇っていた組織は慌て、お偉い先生方は責任逃れに必死となり、一部の者へ責任を転嫁する…
こんなことを繰り返す国に、若者はやる気も魅力も見出だせず、能力のあるものは海外へ出ていくのは必然であろう。
問題の本質は、手続きの不備ではなく、その細胞が作成できるのかどうか、ということではないのか?

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