読書感想日記

最近読んだ本の感想

『覇王の夢』  津本 陽 著(幻冬社)

2007-12-07 22:24:46 | 歴史物
 題名の通り、織田信長が織田家の当主として、天下統一を目指した絶頂期について書いてあり、終わりまで一気に読みました。
 信長に限らず諸大名、軍師たちは、周囲の大名たちに対して様々な手段での情報収集、工作を行い、戦ったのだろうが、なぜ信長が勝ち残っていくのだろうか。
 彼は、当時では画期的と思われるほど合理的な考え方をするうえに、非常に運が強い。
 しかし、それは表面上のことで、本質的には、現状維持という守りの姿勢に満足せず、常に新しい考えを生む柔らかい頭をもつことが必要であり、そのためには他人よりも多くの情報を集め、選別、決断する力が優れていなくてはならない。
 また、信賞必罰といえば簡単なようだが、目標達成のためには、冷淡といわれようとも非情な姿勢に徹することも、必要なのだろう。
 そして諸工作を通じて得た勝機を決して逃さないことも大切だろう。
 しかし何よりも、人の心を掴んだ者が、最後には生き残れるのだろう。
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『戦国一孤独な男-山本勘助』  童門 冬二著(NHK出版)

2007-12-07 22:13:37 | 歴史物
 山本勘助。確か、この人は、軍師として有名な人だったっけ…ぐらいのおぼろげな記憶で、そういう人の「伝記もの」なら面白そうだ、と読み始めました。
 山本勘助が、武田家に仕えるようになってからのことを中心に書いてあり、確かに参考となるところも少なくはないのですが、何だか読みづらい。
 この違和感は何だろう…文がちぐはぐに思え、親切心からか会話は現代語、現代人でも参考となりそうな事例や考え方の部分は、行と言葉を換えて再度記し、更に親切にもその要点を箇条書きにまとめて、もう一度書いてある…
 きっと本当は『山本勘助に学ぶ○○○』のような題の本にしたかったのだろうと思い、そう考え直したら、わりとすんなり最後まで読むことができました。
 いや、題名だけで内容を早とちりした自分がいけないのですね。
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『小説 項羽と劉邦』 童門 冬二 著(日本実業出版社)

2007-12-07 22:06:27 | 歴史物
 項羽と劉邦、ともに名前は見たことや聞いたことはあるけれど、それは世界史の授業だったか、いや漢文で習ったのか…という情けない程度でした。
 この本では、二人の生い立ち、考え方、戦い方から人の用い方について、対比するように書いてあるので、わかりやすく読めました。
 途中、少々くどく感じるところがありましたが、これはきっと、私のように、この二人についてあまり知識のない者への親切な配慮なのでしょう。
 中国の歴史にも興味はあるので、それらに関する本も挑戦したいと思います。
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『八月の砲声 ノモンハンと辻政信』 津本 陽 著(講談社)

2007-12-07 22:03:32 | 歴史物
 後半から終盤にかけては、もう胸が詰まり、言葉がない。
 ノモンハン事件とは、日本陸軍がロシア軍に破れたこと、としか記憶していなかったことが、あまりにも恥ずかしく、そして申し訳ない…
 この戦いは、当時の情勢からして、日本の国益を守るという大義名分が外見上は成り立つのであろう、がしかし実際は、エリートとされる者が、名声を得たいがために、各種情報や諸準備を無視し、裏付けのない思いこみから独断で始めたものの、劣勢に陥るや処罰を恐れ、妄想でしかない大逆転を目指して、ますます泥沼の長期戦にはまり、多くの優秀な部下を、貴重な資機材を失わせていく…
 まさに「孫子」の兵法に逆らう戦法であり、敗れるのは必然だったと考えさせられる事例であろうか。
 ただ残念なことに、この種の事例は、現代でもなお見られるのである。
 そこで、組織のトップに立つ人や、トップを目指す人は、自分の属する組織でこれらの失敗を起こさないために、この本は一読の価値があると思う。
 そして何よりも、組織のトップに立つ人は、組織は自分の物ではないこと、更に、部下は機械ではなく人間であり人生があること、そしてその部下には家族がいることを決して忘れてはいけないと思う。
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