俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

健康食

2016-01-24 09:52:49 | Weblog
 健康のための王道は節制だろう。暴飲暴食などを改めない限り健康は望めない。同様に大切なことは有害物を避けることだ。たとえ有効な毒消しがあってもそれに頼って有害物を摂取し続ける人などいない。まず有害物を排除すべきだ。
 生活習慣病などの検査数値を薬によって抑えることは実に愚かなことだ。原因を放置したまま症状の一部だけを薬(=毒)で抑えることは二重に有害だ。原因に対処せずに薬で対応することは、毒を飲み続けながら副作用のある毒消しを服用するようなものだ。まず原因を見極めねばならない。
 節制以外で健康のために有効なのは睡眠・休養・栄養および適度のスポーツだろう。しかし残念なことに現代人の栄養に関する知識は余りにも低レベルだ。低カロリー食を「ヘルシー」と呼びそれに誰も突っ込みを入れないのは実に奇妙なことだ。本当にヘルシーな食事とは健康を増進させる食事であって減量食とは全く異なる。そもそも本来「食事」を意味する筈のdietが「減量」という意味でしか使わないことが異常事態だ。
 私は糖質(食物繊維を除く炭水化物)制限を評価するがそれは決して減量を肯定するからではない。アルコールは高カロリーでありながら体脂肪として蓄積されないエンプティカロリーだが、糖質はカロリー源にしかならず余剰分は体脂肪として蓄えられるオンリーカロリー食だ。蛋白質や脂質は体細胞の素材であり脂質は体脂肪のための素材だ。エネルギー源や体脂肪の素材にしかならない糖質が重要な栄養素とは思えない。
 糖質制限の思想は正しいが告知方法はしばしば誤っていると思う。減量を考えている人が少なくないからそんな人々に訴えることは戦略としては有効だが本来の思想からは逸脱している。本来の目的は様々な栄養素の摂取だろう。米やパンを制限することは手段であって目的ではない。人間が食べる量は限られているから、大量の米を食べれば他の食材の摂取量が減る。だから糖質を減らすことによって豊富な食材を摂取できるようにする。糖質を減らせば多分、野菜を多く食べるようになる。このことだけでビタミンやミネラルの摂取量が増える。
 糖質を減らせば減量できるという話ばかりがクローズアップされれば間違った方向へと向かう。糖質制限はカロリー摂取量を減らして減量することではなく、様々な食材(栄養素)を充分に摂ることによって健康になることこそ目標とされるべきであり減量など二の次だ。この辺りのことがしばしば見落とされ勝ちだが、優先されるべきなのは健康であって減量ではない。

コメントを投稿