俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

追い風

2013-01-20 10:04:48 | Weblog
 自転車に乗っていると向かい風が辛い。登り坂で向かい風に会うと降りて歩くべきかと迷う。その癖、追い風の有難味は実感しない。向かい風が辛い分、追い風は楽になる筈なのに殆んど感じない。人間は向かい風を敵対するものと感じるのに追い風は味方と認知できないものなのだろうか。
 追い風を受けて生きている人がいる。美人がその典型だ。多少の失敗をしても、相手が男なら、ニッコリと微笑んで「ごめんなさい」と言えば許される。多分彼女らは美人であるという追い風があることには中年以降になるまで気付かないだろう。
 向かい風に直面せねばならない人もいる。障害のある人や容姿の優れない人などだ。彼らは劣等感を持ちそれを克服しようとする。
 男性が女性に触ることはセクハラと位置付けられている。しかし若くて可愛い男ならスキンシップとして許される。中年の男なら無条件でセクハラとされる。若い頃に追い風を感じなかった人が中年になって向かい風に直面すれば途方に暮れるだろう。同じことをしても若ければ親愛の情であり、中年になればイヤラシイ行為と評価される。
 ビジネスマンはしばしば「お蔭様」という言葉を使う。恩義があると感じていなくてもこの言葉を使うのがマナーだ。実際の話、多くの人は他人の支援を得て成功している。成功したら自分の力で失敗したら他人の責任と考えるなど論外だ。人は気付かぬままに追い風の恩恵を受けている。人は向かい風には敏感だが追い風には鈍感なものだ。お蔭様という気持ちを忘れるべきではない。

事故の原因

2013-01-20 09:37:05 | Weblog
 ボーイング787の事故が相次いでいる。原形を留めぬほどに焼け焦げたバッテリーの写真を見て、バッテリーが原因だ、と思いそうだがそれは早計だろう。私は決してMaid in Japanだからという理由でメーカーのGSユアサを擁護したい訳ではない。結果と原因は異なることが多いからだ。
 もし炎天下で長時間トレーニングをしていた人が脳か心臓の発作を起こして亡くなったとしたら、その人の脳や心臓に欠陥があったと考えるだろうか。むしろ炎天下でのトレーニングに無理があったと殆んどの人は考えるだろう。
 ヒューズが飛んだ場合、ヒューズが古かったからだと考える人は誰もいない。設定値以上の電流が流れたからヒューズが飛んだと正しく理解するだろう。
 航空機のメカニズムについて私はど素人だが、787型機は従来の航空機と比べて電気系統がかなり複雑だと聞いている。そして問題のバッテリーは安定飛行中は発電ではなく充電をするそうだ。このことから考えられることは想定外の電流がバッテリーに流れ込んだということだ。
 私はバッテリーの欠陥ではなく、過剰電流がバッテリーに流れないようにするためのシステムの不具合であり、設計ミスか整備ミスが原因と考える。トラブルが発生した箇所を原因と考えることは余りにも軽率だ。結果だけではなくそのプロセスにも注目せねばならない。殆んどの場合、トラブルの真因はトラブルが発生した場所ではなくその前段階にある。