俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

誤った期待

2013-01-15 13:34:55 | Weblog
 年末から年始にかけてたまたま2人の医師と個人的に話す機会があった。いい機会なので日頃の疑問をぶつけてみた。それは風邪に解熱剤は必要か、ということだ。2人とも風邪薬が有害であることを認めた。しかしそれでも処方するとのことだった。それは患者がそれを希望するからだ。
 患者としては今の不快感を緩和してほしいから病院を訪れる。医師はクライアントの要求に応える義務がある。長期的には無意味・有害であろうとも患者の要望に沿わざるを得ない。
 これは肥満体の人が大盛りのメニューを頼むようなものだ。食堂側としては大盛りが彼の体に悪いと思っても断ることはできない。そんなことをすれば喧嘩になってしまう。
 良心ある医師にとってこれは大きなジレンマだ。患者は対症療法を求めている。医師は対症療法が無意味・有害と分かっていても患者の期待に応えざるを得ない。もし患者の期待に応えなければ藪医者との悪評を立てられるかも知れない。
 客観的には解熱剤を使わないほうが正しくても患者の主観世界では症状を緩和することが最優先だ。主観と客観が対立すれば主観が勝つ。
 誤った医療をやめるためには患者が正しい知識を持たねばならないと痛感せざるを得なかった。正しいことよりも「正しいと思われている」ことのほうが優先される社会だからだ。

軽減税率(2)

2013-01-15 13:12:29 | Weblog
 軽減税率の実施を求める公明党に対して自民党は事務の煩雑化を理由にして反対しているが、本当にインボイス(仕入れ明細書)方式にしなければ軽減税率は導入できないのだろうか。インボイス方式に変えなくても小売段階での軽減は可能だと思うしそれどころか今すぐにでも実施できるだろう。
 仮に小売段階での食料品の消費税率が3%に減税されたとしよう。消費者は2%分安く買えるようになる。
 小売事業者の側では消費税の納税において食品と非食品に分けて消費者からの徴収額を算出して、それから経費に掛かった消費税を差し引きすれば済む。あっけないほど簡単だ。
 インボイスが必要なのは流通の各段階で軽減税率にしようとするからだ。小売段階だけで軽減するなら何も問題は起こらない。
 例えば商品価格200円で仕入れた商品を300円で売ったとしよう。この場合、税込み210円で仕入れて309円で売ることになる。仕入れに掛かった消費税10円に対して9円しか転嫁されていないから1円が還付されることになる。それだけのことだ。インボイス方式にして雁字搦めにしなければ軽減税率が導入できないなんて嘘っぱちだ。
 自民党と財務省は税収が減るから軽減税率に反対しているだけであり事務が煩雑化するというのは口実に過ぎない。こんな嘘になぜマスコミも国民も騙されているのか理解できない。
 実現が困難な理由を並べるばかりでは改善されない。小売段階だけでの軽減税率もその一例だが、どうすれば実現できるかが考えられるべきだろう。