信州大学成澤孝人教授を専任講師に迎えて全6回の初回。テーマは「憲法とは何か」。
1、憲法を守らなければならないのは、権力者である(憲法99条)。国民の幸福のために国家がある。国民の幸福のために権力が行使されなければならない。ところが自民党憲法草案は国民に憲法尊重を求めていて、これは憲法とは言えない代物。
2、日本は人権のために戦争をしないことを決めている。国家は基本的人権を守るためにある。
憲法98条で最高法規として定め、97条で「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、おかすことのできない永久の権利として信託されたものである」、ところが自民党案はそっくり削除されている。
憲法第13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追及に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない」とある。「公共の福祉に反しない限り」とは、自分に人権があると同時に他人にも人権があり、ぶつかるときには制約される。たとえば報道の自由があるからといいてと一般市民の名誉を棄損させてはならないということ。ところが自民党案は「公益及び公の秩序に反しない限り」となり、人権は国家のために制限されるという本末転倒を起こしている。
3、硬性憲法
憲法96条そのものは、基本的人権・平和主義・国民主権という基本理念と同様に変えられないものである。憲法を変えたいのであれば、96条の手続きにのっとって変えるべきであり、それは野党も含めて様々な考え方の人が賛同しうる憲法でなければならない。
そもそも憲法とは多様な国民が一つの共同社会=国家を形成し、共存していく基本理念である。したがって、すべての個人を尊重し、その個人の生命・自由・幸福追求権を最大限保障し(13上)、差別を禁止し(14条)、奴隷的拘束・苦役を禁止し(18条)、思想良心の自由を保障し(19条)、信教の自由を保障し(20条)、表現の自由を保障(21条)している。つまり、どんな思想や宗教をもっていようとも、もっていなくても、人間として平等に尊重される社会を憲法は想定している。他者の人権を否定できる人等誰もいない。人権が保障されていることが多数決の前提であり、多数決で人権は否定されない。
4、憲法の危機=自民党憲法草案においては、「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守ろうとしない人、日本国の戦争責任を反省し天皇制を支持しない人、個人主義を主張し家族や社会に異論を唱え和を乱す人、活力ある経済活動を通じて国を成長させない人、君が代と日の丸を尊重しない人は、この国においては排除される」ことになる。
第2回は、1月24日(金)18時松本市勤労会館2Fテーマは「日本国憲法の中核としての平和主義」です。1回500円の参加費が必要です。
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