―4月4日長野市において、信州市民アクションが主催して、市民と野党の集いが開催され、元文部科学省事務次官の前川喜平さんと、同じく元文部科学省審議官の寺脇研さんの対談が行われました。集会では、4月8日告示、25日投票の参議院長野補欠選挙の予定候補者羽田次郎氏も駆けつけ、立憲民主党杉尾秀哉氏、共産党山口典久氏、社民党中川博司氏と共に挨拶をしました。―
寺脇研「本来、政治家と役人の仕事は力を合わせて国民のためにすることだ。」
前川喜平「政治家と官僚の関係がおかしい。今、官僚の三割の人が定年前に辞めてしまう。官僚の世界が劣化している。法案に誤りが見つかったが、あり得ない話だ。官僚の基礎体力が無くなっている。官僚の劣化は、政治の劣化だ。政治家が自分たちの都合のために官僚を使っていることが問題だ。菅さんも私物化している。それを隠すために、官僚がウソの答弁をさせられている。官僚は、もともと国民のために仕事をしようとしているのに、政治家のための仕事になっている。公共のために尽くすことが政治家の仕事のはずなのに。この間、憲法がどんどん壊されてきた。安保法制もそう。私は個人的に国会前のデモにも参加した。安倍政権になってから、人事で官僚を操作してきた。デモに参加したことがばれなかったので事務次官になった。私を事務次官にしたのは失敗だった(笑)。政策協定に新自由主義からの転換が書かれている。転換するためには今は政権交代しかない。かつては、自民党の中には、昔は違う意見を取り入れる度量があった。今は違う。かつては自民党の中に強固な護憲派がいた。自民党は変わってしまった。いまや利権政党だ。長野県は、私をよく呼んでくれる。山口県は全く呼んでくれない。」
寺脇研「長野県内で教科書を作る会社があることはすごい。子どもたちを中心とした、学ぶ側の教育をやってきたということだ。早くからゆとり教育やってきた。」
前川喜平「ゆとり教育は、いろんな体験から学ぶ、話し合いから学ぶ、自分の疑念から学ぶ。詰め込みは、疑うことを許さない。ペーパーテストでは計れない。全国学力テスト始まったが、文科省にやりたい人はいない。競争させるやり方では、学びは育たない。数学の先生に怒られるけど、二次方程式で生きている人はどのくらいいるのか?中学では二次方程式はいらない。国語と数学のテストだけの学力テストやめたほうがいい。学力テストへの参加は市町村教育委員会の判断。参加しないという判断もあるが全ての市長村がやっている。全部参加することは異常だ。新型コロナの安倍首相の全国一律休校も異常だ。二日前まで文科省内では、個別の対応を要請していた。今の官僚は、『なんでも官邸団』。市町村教育委員会は、個別に判断してよかった。しかし、99パーセントは、従った。子どもたちには、大人を信じるなと言っている。ごくわずかだが、島根県のように休校にしなかったところもある。東京都内は分散登校もしなかった。そのおかげで、家庭内暴力や学力差が生じた。学校再開で超詰込になった。かえって良くなかった。2021年度は不登校が増えるだろう。安倍政権と不登校の数は、相関関係がある。ゆとり教育の時は、不登校が減っていた。自分で考える自由な教育をするためには、教師が自由でなければならない。人事評価はおかしい。」
寺脇研「地方分権必要。新型コロナも東京基準。長野県には長野県の事情がある。伊那小学校では、ヤギを育てていて、どのくらいの餌をやると育つのか総合的に学習していた。それが、一極集中に変わった。ゆとり教育を やってよかったと思うのは、東日本大震災のとき。すでに過疎化が進んでいた中で、自分の故郷への愛情が育っていた。この町を、あのお祭りを復活したいと子どもたちが動いている。全ての市町村に高校は一つ必要。リモート使えば小さな高校でも生き残れる。学校を残すこと大事。これから学ぶことは、防災、環境は必修でしょう。全国一律、同じことをやる中央集権的な教育を変えていかなければならない。自ら学び、自ら考える教育に変えていかなければならない。」
前川喜平「安倍さんは、目に見える明らかに憲法改正をしてきたが、菅さんは目に見えない憲法の切り崩しをしている。日本学術会議の独立性を崩した。国立大学の学長の任命の独立性も崩された。菅政権は、裏側で憲法を壊している。ナチスの時代のワイマール憲法も掘り崩された。高校の学習が変わる。探求の学習に変わる。『公共』という教科が始まる。主権者教育や、同性婚をどう考えるか、入試における女性差別、核兵器禁止条約どう考えるか。地理総合で、防災が入ってくる。歴史総合で、世界史の中で日本史を学ぶことになる。ナチスに投票するかどうかという問いがある。民主主義が独裁を生むことは歴史的によくある。」
寺脇研「子どもたちが、ご飯が食べれなかったり、青あざをつくっている。見えにくい。子どもを救えない社会は情けない。今回の政策協定が実現すれば、子どもたちを救える。子どもに自己責任はない。子どもを守る人を選んでいかなければならない。」