長野県は1月31日「長野県主要農作物等種子条例(仮称)」の骨子案が発表され、2月28日までの期間で意見を募集しています。国はTPP関連で昨年4月1日に主要穀物種子法を廃止しました。
主要農作物種子法は、戦後食糧増産を目的に国や都道府県が主導して優良な種子を確保するためコメ・ムギ・大豆の種子の生産、普及を都道府県に義務付けていた法律です。
なぜ、TPP条約で種子法を廃止しなければならなかったのかというと、TPP締結国はUPOV(ユポフ)1991年条約を批准することを求めています。日本は1998年に批准していますが、これは種子の育成者の権利を保護する条約で、グローバル企業などが開発した種子の自家採種を禁じ、違反した場合には莫大な特許侵害の賠償請求がされます。そして企業がつくる新しい種子の流通を保障し、在来種は結果として駆逐されてしまいます。
主要農作物種子法の廃止と合わせて農業競争力強化法が成立していますが、この中で都道府県が開発した種子の知見を企業に提供することを推進しています。
このため、「農家は企業から高額な種子を買わなければならいのではないか」「外国から遺伝子組み換え種子が入ってくるのではないか」「生物多様性が保障されないのではないか」「在来種の種子を守れないのではないか」「安全・安心な食料が確保できないのではないか」といった不安が生じ、全国各地で種子法廃止がどんな問題があるのか学習会がもたれました。長野県内でも、遺伝子組み換え食品への不安を感じるお母さんや、有機栽培をしている農家などが中心となって県内各地で学習会がもたれてきました。
そうした中で、種子条例の制定を求める声が大きくなり、昨年の長野県知事選挙で社民党長野県連合は阿部知事との政策協定で種子条例の制定を約束してきました。
今回示された「種子条例骨子案」が、生産者や消費者の不安を解消することになるのか、またTPP条約との関連で本当に種子を守ることができるのか十分検討して意見を反映させていくことが必要です。