こんにちは「中川ひろじ」です。

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20180206 追分スタンディング 春闘と憲法

2018-02-06 19:53:29 | 活動日誌

春闘と憲法

■求められる賃金の底上げ!

 いよいよ今年の春闘が本格化します。春闘は民間組織労働者のためだけのものでしょうか?そうではありません。民間春闘の結果が人事院勧告に反映され、公務員労働者や地場賃金、さらには最低賃金の底上げにつながっていくのです。

 GDPの6割を占める個人消費が伸び悩むことで、なかなか景気の回復感を感じられない経済状況ですが、原因ははっきりしています。それは実質賃金があがっていないからです。

 企業にすれば賃金はコストです。一企業だけで賃金をあげれば、それだけ競争力を損なうことになります。企業側にしても賃上げをするならば横並びにして、公平なコスト負担をして競争力を維持したい。だから、賃上げは労働者が団結してたたかうことでしか実現しないのです。

 今年の賃上げは、労働力不足の解消や長時間労働の是正にとっても必要です。少子高齢社会は、いよいよ労働力不足という社会的な問題となってきています。大企業はそれなりの賃金・労働条件で人材を確保し、そのことにより長時間労働も是正されます。しかし、下請け中小企業は、元請け企業から部品等の納入単価の切り下げを恒常的に要求され、賃上げの原資を持っていません。結果、労働力は不足し長時間労働が慢性化し、過労死、過労自殺の根源となっています。さらに、この国の7割を占める中小企業に集積されているモノづくりの技術継承でさえ危うくなっています。

 だから今年の春闘は賃上げなくして終わるわけにはいかないのです。

■非正規労働者の待遇改善を!

 とくに今年の春闘については、未組織労働者も非正規労働者も大いに注目しています。いまや全労働者の4割になろうとする非正規労働者の待遇改善は待ったなしです。非正規労働者の平均的所得が170万円台、正規労働者とは実に300万円もの格差があります。大企業男性正社員と比べれば、なんと500万円近い格差です。低賃金の労働者が増えれば、年金や健康保険などの社会保障財源にも大きな影響を与えます。

 憲法は、すべての国民に健康で文化的な生活を保障しています。ワーキングプアという言葉があること自体が憲法違反なのです。

 長野県の最低賃金は昨年の改訂で現在795円です。計算しやすいように仮に800円として年間2000時間働いたとしても160万円です(もっともパートやアルバイトで年間2000時間も働ける職場はありませんが)。この最低賃金を欧米並みに1500円にしたとすれば年間300万円となり、健康で文化的な生活の足がかりとなります。

 同じ職場で同じ仕事をしているならば、非正規労働者であっても8割以上の賃金を保障しなければいけません。1996年、現在上田市丸子にある丸子警報器のパート労働者のたたかいによって、この8割水準を勝ち取られました。最近、郵便局で働く非正規労働者の賃金を正規の労働者の8割以上を払うよう最高裁の判決も出されています。しかし現状はそうなっているでしょうか?

 また、改正労働契約法により5年以上有期雇用を続けている労働者は、希望すれば無期雇用に転換するルールが4月1日からスタートします。いま、駆け込み的に雇止めをする企業があり、問題となっています。

いまや非正規労働が基幹的労働となっている職場も少なくないなかで、非正規労働者の賃金・労働条件の改善は待ったなしです。

■公正取引の実現を

 今年の春闘の課題で、もう一つは公正取引の実現です。昨年の春闘で宅配業者が、労働条件の改善のために料金の値上げに踏み切りました。これも公正取引の一環と言えます。大手元請け企業が、必要以上に下請け中小企業に対して納品単価の切り下げを求めるならば、この社会は成り立たなくなります。安ければ何でもいいという考え方は、消費者も考え直す時です。

 1998年の物流2法の改正や2000年代のバス・タクシー業界の規制緩和は、過当競争とダンピング、さらに安全輸送の危機をもたらしました。一昨年の軽井沢バス転落事故も背景には、貸し切りバスの規制緩和があります。

 公正な取引とは、労働の対価がきちんと支払われていることです。最近、法律も守らず、労働者を人間とも思わないブラックな企業が増え、そのたびに新聞紙上で話題となっていますが、是正させていくには、これも労働者が団結して声をあげていくことが必要です。

■春闘をたたかう力が憲法を守る力になる

 安倍政権になってから、立憲主義ということが強調されるようになってきました。憲法が権力をもつものが守るべきものであるのに、憲法無視、憲法違反の立法を安倍政権が行っているからです。

 権力をもつものに憲法を守らせる力は、国民の声です。憲法第12条が私たち国民に基本的人権を守るために不断の努力を要請しています、今春闘で労働者のたたかいによって国民の基本的人権や健康で文化的な生活を保障させること、これが憲法を権力者に守らせる力になるのです。

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